2014年10月29日水曜日

マタハラ判決(最判平成26年10月23日)によせて…



1. 朝夕の冷え込みが随分厳しくなってきました。
    10月も、もう終わってしまう…、とあせってしまいます。
 


2. 先日、いわゆるマタハラ(*)判決最高裁判所第一小法廷平成26年10月23日判決)について、新聞等で、大きく報道されていました。
 

   マタハラ maternity harassment。働く女性が、妊娠や出産を機に、職場で嫌がらせを受けたり、不利益な取扱いを受けたりすること。
 
 事案の概略は、以下の通りです。
 病院等を運営する消費生活協同組合Yとの間で、理学療法士として理学療法の業務に従事することを内容とする期限の定めのない労働契約を締結していたは、平成16年、リハビリ課の副主任(管理職)となりました。
 第一子を妊娠したXは、平成18年2月、産前産後の休業と育児休業を終えて職場復帰しました。
 平成20年2月、Xは、第2子を妊娠し労働基準法65条3項に基づき軽易な業務への転換請求し、訪問リハビリ業務よりも身体的負担が小さいとされていた病院リハビリ業務を希望しました。
 Yは、上記請求に係る軽易な業務への転換として、同年3月、Xを異動させましたが、そこでは、Xよりも理学療法士として職歴の長い職員がいました。その後、Yは、手続上の過誤により、上記異動と共に副主任を免ずる旨の辞令を発するのを失念していたとXに説明し、その時点ではXも渋々ながらこれを了解し、その旨の辞令が発せられました本件措置)。本件措置の結果、Xは、非管理職になり、副主任としての管理手当受けられなくなりました
 Xは、平成21年10月、育児休業を終えて職場復帰しましたが、そこには、Xよりも理学療法士としての職歴の6年短い職員が本件措置後まもなく副主任に任ぜられていたことから、Xは再び副主任に任ぜられることなく、これ以後、上記職員の下で勤務することになりました。
 Xは、これを不服として強く抗議し、その後、本件措置が、雇用の分野における男女均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下、「均等法」9条3項に違反し、無効である等と主張して、Yを訴えました。

 
均等法9条3項

事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるもの理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

3.  原審は、本件措置は、Xの同意を得た上で、Yの人事配置上の必要性に基づいてその裁量権の範囲内で行われたものであり、Xの妊娠に伴う軽易な業務への転換請求のみをもって、その裁量権の範囲を逸脱して均等法9条3項の禁止する取扱いがされたものではないから、同項に違反する無効なものであるということはできない、として、Xの請求棄却しました。

 
4.  これに対し、最高裁は、以下のように判示して、原判決破棄し、高裁差し戻しました

均等法9条3項は、同法の目的及び基本的理念を実現するためにこれに反する事業主による措置禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり、同項に違反する取扱いは、違法、無効である

     ↓

一般に降格は労働者に不利な影響をもたらす処遇であるところ、…
女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換契機として降格させる事業主の措置は、原則として、同項の禁止する取扱いあたる
     ↓

もっとも、

①当該労働者が軽易業務への転換及び上記措置により受ける有利な影響並びに上記措置により受ける不利な影響内容程度、上記措置に係る事業主による説明内容その他の経緯当該労働者の意向等に照らして、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格承諾したものと認めるに足りる合理的な理由客観的存在するとき、
  又は

②事業主において当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、その業務上の必要性の内容や程度及び上記の有利または不利な影響の内容や程度照らして上記措置につき同項の趣旨及び目的実質的に反しないものと認められる特段の事情存在するとき

は、同項の禁止する取扱い当たらない
   ↓

  本件では

①については、Xは本件措置による影響について事業主から適切な説明を受けておらず、自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは言えない。

②については、Yにおける業務上の必要性の内容や程度、Xにおける業務上の負担の軽減の内容や程度を基礎付ける事情の有無などの点が明らかにされない限り特段の事情の存在を認めることはできない。

 
5.  なお、本判決では、櫻井龍子裁判官が、「念のため」として、育児休業から復帰後の配置等が均等法9条3項に違反するかについて、補足意見を述べています。
 この中で、櫻井裁判官は、Xが職場復帰を前提とした育児休業を取ったことは明らかだったのだから、復帰後にどのような配置を行うかあらかじめ定めてXにも明示した上で、他の労働者の雇用管理もそのことを前提に行うべきであったと考えられるところ、育児休業取得前にXに復帰後の配置等について適切な説明が行われたとは認められず、しかも本件措置後まもなくXより後輩の理学療法士をXが軽易業務への転換前に就任していた副主任に発令、配置し、もっぱらそれ故にXに育児休業から復帰後も副主任の発令が行われなかったというのであるから、前述の②の特段の事情がなかったと認める方向に大きく働く要素であると言わざるを得ない、等と述べています。

 
6.  マタハラ判決に対しては、賛否両論あることは、想像に難くありません。
 ただ、条文を読む限り、条文に素直な法解釈である…ともいえると思います。
 均等法9条3項は、妊娠等を理由として女性労働者に不利益な取扱いをしてはいかん!といっているのです。しかも、同条項は、これに違反する取扱いが違法、無効となる強行法規であるとされています。
 そして、Xは妊娠したので軽易な業務への転換を請求し、この請求に基づく異動に伴いYが管理職を免じるという本件措置をとっており、その結果、Xは管理職の地位と手当を喪失したというのですから(Yは、軽易業務への転換や本件措置により、Xに有利な影響があったことを立証できていません。)、同条項を素直に読めば、本件措置は、原則として、同条項に違反するといえるのでしょう。
 ただ、最高裁は、条文にはない例外を2つあげていて、②については、特段の事情を判断する事実が不足しているので、原審に差し戻すというわけです(最高裁は、法律審なので、事実認定はしませんから…)。
 ①については、Xが渋々ながらも承諾していることをどう評価するかが問題となりますが、最高裁は、Yが適切な説明をしていないから、Xが自由な意思に基づいて承諾していたとは認められん!としています。原審は読んでいないのですが、Xの同意があったこと等も考慮して、Yの裁量権の範囲内だと判断しているようですね。
 日本において女性の社会進出が遅れていることは、色々な指標で示されているところですが、世界に比べてどうこうでなく、現在成立している法律に基づいて素直に法解釈すると概ね最高裁の判決のようになるのに、この判決がセンセーショナルに報道されるのは、世間の認知が、現行法に追いついていないということなのでしょう。
 

7   それにしても、第一小法廷の裁判長でもある櫻井裁判官の補足意見は、随分、踏み込んでいる印象を受けます。
 思わず、櫻井裁判官の経歴を思わずググってみると、労働省において女性局長等をされていたようで、なるほどと得心しました。
 最高裁は、前述のように例外を認めていますが、補足意見まで踏まえると、事業主が越えなければならないハードルは、極めて高いように思われます。
 女性労働者を雇用する事業主は、大企業ばかりではありませんが、その辺りは、業務上の必要性の内容や程度で勘案するというところでしょうか。本判決は、業務上の必要性の有無及びその内容や程度の評価にあたっては、「当該労働者の転換後の業務の性質や内容、転換後の職場の組織や業務態勢及び人員配置の状況、当該労働者の知識や経験等を勘案するとともに、上記措置に係る経緯や当該労働者の意向等をも勘案して、その存否を判断すべきものと解される。」と判示しています。
 コンプライアンスの観点からは、原則として、妊娠、出産等や育児休業の取得等を理由に、女性労働者に対し、不利益な取り扱いをしてはならないことを肝に銘じるとともに、女性労働者が職場復帰を前提として育児休業を取得する場合、(できる限り)復帰後にどのような配置を行うかまであらかじめ定めて当該女性労働者に説明し、且つ、他の労働者の雇用管理もそのことを前提に行い、仮に、不利益な取り扱いをせざるを得ない場合には、当該女性労働者にその影響等を十分に説明し、自由な意思に基づいて承諾してもらうこと(自由な意思に基づいて承諾したものと認めるに足りる合理的な理由を客観的に用意すること)等に留意しなければない、といえるでしょう。

2014年10月1日水曜日

ウズベキスタン共和国視察旅行


1. 今日から10月になりましたので、先月のことになってしまいましたが、9月12日から17日まで、愛知県弁護士会国際委員会ウズベキスタン共和国視察旅行に行ってきました。
 ウズベキスタン視察旅行記を、事務所通信第3号に載せましたので、ご覧ください。
 訪問先のCOLIBRILAWタシケント国立法科大学
日本法教育センター等のみならず、ウズベキスタンの司法制度や、弁護士アドボカート(Advocateадвокат)ユリスト(Juristюрист)違い原則、土地私有制が認められていないこと等にも、少し触れてあります。
 
2. ところで、 ウズベキスタン共和国というと、皆さん、どのようなイメージを持っていらっしゃるでしょうか。
 ウズベキスタン共和国には、名古屋大学日本法教育研究センターがあるのですが、その学生さんたちが、日本に短期留学した際、日本人に、「ウズベキスタン人です。」と自己紹介すると、「ああ、あのターバン巻いている?」(アフガニスタンと間違えているものと思われます…)とか、「え?パキスタン?」とか、言われたと苦笑していました。
 「スタン」というのは、ペルシャ語で「国、地域」を表すそうで(「ウズベキスタン」は、「ウズベク人の国」ということになります。)、確かに、ウズベキスタンの周りには、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン等々、「スタン」でおわる国名の国が他にもあります。
 個人的には、ウズベキスタンというと、シルクロードの要衝にあり、ティムール帝国の首都であったサマルカンドがある国というイメージが強く、その他は、旧ソ連から独立した国であることや、以前、NHKドキュメントでみた「スザニ」(手刺繍をほどこした布)が印象に残っていたくらいでしょうか…。
 あと、ウズベキスタンというと砂漠のイメージがあり(実際、キジルクム砂漠があります。)、ウズベク人は遊牧民族なのかと勝手に思っていたのですが、基本的に農耕民族であり、旧ソ連時代には、綿花栽培が盛んだったとのこと。
 ウズベキスタンに着いた際、並ぶ列も定かでない混乱に満ちた入国審査を体験し、どうなることかと心配しましたが、少なくとも、滞在中出会ったウズベキスタンの方々の中には、日本人と同じ農耕民族で親近感がわくからでしょうか、日本人的な気遣いを感じることもありました。
 
バザールでは色々な野菜が売られていました。
きれいに並べられたドライフルーツ。とても美味しかったです。
 

3. ウズベキスタンで、民家(名古屋大学の卒業生の方のご実家)にうかがう機会がありました。
 当の卒業生の方はいらっしゃらず、しかも、大勢でうかがったにもかかわらず、大層、大層、歓迎してくださいました。
 ウズベキスタンのお料理は、牛、羊等のお肉料理は少々脂っこいですが、付け合せにたくさんの野菜がでてくるので、意外にヘルシーです。

招き入れられた部屋のテーブルには既に豪華な盛り付けが…

 最後の〆は、プロフ(ピラフのようなお米料理)。
プロフ♪

 心づくしの手料理は、どれも、とてもおいしかったです!!!
 お酒については、ウズベキスタン人は、イスラム教徒にもかかわらず、旧ソ連時代、ウオッカを飲めないと出世できなかった(?)とかで、飲まれる方が多かったように思います。うかがったお宅でも、ご主人は、お酒を飲まれました。その飲み方が、ロシア式…。ウオッカについては、乾杯すると一気飲みしなければなりません。乾杯は、一度ならず、何度も行われ、皆で立ち上がって乾杯しては一気飲みし、空になったグラスを頭で振ってみせるから大変…。でも、これが、盛り上がるんですね。私は、しっかり、コーラでごまかしましたが(申し訳ない…)、乾杯するほどに、ウズベキスタン人と日本人の垣根がなくなっていくようで、お酒の力ってすごいなと思いました。
 帰り際には、お土産までいただいてしまって、そのおもてなしに、大変、大変、感激しました。
 
こちらは、レストランでいただいたウズベキスタンの赤ワイン。
なんとメルロー
(BAGIZAGAN社)。
ウズベキスタン伝統の甘いワインではありませんでした。


4. ウズベキスタンは、親日的な国と言われます。
日本が第二次世界大戦で敗戦した後、いわゆるシベリア抑留者のうち、約2万5000人もの日本人が、ウズベキスタンに連行され、ウズベキスタン全域で、強制労働に従事したといいます。
 その際、日本人は、勤勉によく働き、ウズベキスタンの人々に感銘を与えたそうです。
 抑留者の方の中には、悲しいことに、日本の地を踏むことなく、ウズベキスタンで亡くなった方もおられたため、ウズベキスタン各地には、日本人墓地があります。
 ウズベキスタン訪問前に読んだ「ウズベキスタンの桜」(中山恭子著)や「シルクロードの青の都に暮らす」(胡口靖夫著)には、日本人墓地をめぐるウズベキスタンの方々の心温まる対応が記されています。
タシケントの日本人墓地。
日本人抑留者が建設にかかわり
タシケントを襲った大地震でも壊れなかったというナヴォイ劇場。
 

2014年9月19日金曜日

ブラジル・サンパウロの治安とお食事などについて


1.夜、虫の声が聞こえるようになり、めっきり秋らしくなりましたね。

ブラジル・サンパウロ視察旅行の訪問先等については、既に、先日触れましたが、今日は、ブラジル・サンパウロ治安お食事などについて、短い滞在中に感じたことなどを書いてみたいと思います。

2.ブラジル・サンパウロ治安について

外務省HPの「危険情報」「十分注意」となっており、「サンパウロ市内においては、信号待ちや渋滞等停車中の車両利用者及び歩行者を狙ったけん銃使用の路上強盗事件等の凶悪犯罪が、パウリスタ大通り等の身近なところでも多発しており、ブラジル人だけでなく日本人も被害に遭っています」等とあります。

視察旅行中、基本的に、移動は貸切バスで行い、サンパウロ在住の大嶽弁護士が同行してくださいましたが、常に、緊張を緩めることはできませんでした

一日だけ、朝、視察旅行のメンバー3名で、パウリスタ大通りの本屋さんまで歩いて行きましたが、後ろから追いついてきた別のメンバーに、「日本人だとまるわかり」と言われてしまいました(苦笑)。

件の本屋さんが開店前だったため、恐る恐るパウリスタ大通りに面したシケイラ・カンポス公園を散策して時間を潰しました。

時間と場所を選べば…と事前に案内を受けていましたが、何事もなく、無事に帰ってこられて、本当に良かったです。

 
ホテルのロビーで、スリとおぼしき若者に目をつけらたことが一度だけありましたが、同行メンバーの機転で事なきを得ました(感謝)。
 
朝のパウリスタ大通り
(なるべくカメラを外にだして持ち歩かないようにと注意を受けました。)


ところで、サンパウロ市民が赤信号でも横断報道を渡っているところを、よく見かけました。

冒頭の外務省のHPには、前述の通り、「信号待ち渋滞等停車中車両利用者及び歩行者を狙ったけん銃使用の路上強盗事件」とあります。

このことで、思い出したのが、大学生時代、イギリスの語学学校に3カ月ほど通ったときのこと。

私のクラスに、日本人は私1人で、あとは、ヨーロッパ、中東、東南アジア、中南米等、世界各国から生徒達が集まっていました。

ある授業で、「真夜中に車で走っていて、他に車がなく、信号が赤の場合、交差点をわたるか?」と質問されました。この質問を通して、各国生徒の国民性を話題とする趣旨だったのだと思います。確か、ドイツ人と日本人(私)は、「渡らない」とこたえました。多数意見は、「他に車がなかったら、渡るだろ!」というものでした。クラスで、わいわいと語り合っていると、コロンビア人が、「コロンビアでは、夜中に信号が赤でも止まらない。なぜなら、とまったら、けん銃で撃たれるからだ。」旨、発言しました。
すると、流石に、何とも冷たい空気がクラスに流れたように記憶しています。

もっとも、コロンビアの治安は、だいぶよくなったと聞いておりますが…。

 
3.ブラジル・サンパウロお食事について

今回の視察旅行で、お食事は、漏れなく、ビュッフェ形式でした。
手前右のお鍋が、有名なフェイジョアーダ(Feijoada)
 
ブラジル料理といえば、シュハスコChurrasco)が思い出されます。

シュハスコを供するシュハスカリアChurrascaria)にも行きました。

お店のお兄さんが、串に刺したままのお肉等を持ってテーブルをまわってくれて、お客が、欲しければ、その旨意思表示すると、お兄さんが、切り分けて、お皿に入れてくれるというシステムです(シュハスコ以外のお料理は、ビュッフェです)。牛肉は、部位によっては、とても柔らかく、おいしかったです♪

鳥の心臓は、…少し、硬かったかも…。
 
シュハスコを焼いているところ

大嶽弁護士お薦めのFolha de Uvaというレバノン料理のレストランも、大変、よかったです。
確かに、日本人の口にあうと思いました。
生肉のお料理も、大丈夫。
トルコ料理に、少し、似ているかもしれません…。
お店の内装もお洒落でした。
 
ブラジル産のワインもいただきました。

日本ではあまり見かけないブラジルワインは、飲みやすかったです。
Marcus James, Serra Gaucha, Brazil

 
朝、散策した際いただいたスタンドのポン・ジ・ケージョPão de queijo)も、印象に残っています。マテ茶といただきました♪

 
3.ブラジルに行く前に、読んだ、みた映画

ブラジルに行く直前に読んだは、
ブラジルを知るための56章(第2版)」(アンジェロ・イシ著)。

冒頭の「黒いペレと白いセナ」にはじまり、大変、わかりやすい切り口で、ブラジルを紹介してくれていました。

ちょっと前に読んだ本は、「ブラジル巨大経済の真実」(鈴木孝憲著)。 

もっと以前に読んだでは、
医者も結婚もやめてジャングルへ行く!」(林美恵子著)。
ものすごく強烈なインパクトを残しています。
著者はその後どうしていらっしゃるんだろう…と、ブラジルに行く行かないにかかわらず、勝手に気にしていたものですが、今回の視察旅行で消息を聞くことはありませんでした。 

それよりももっと以前にテレビでみた映画では、何と言っても、

黒い絨毯」(小学生くらいのときにみたのですが、この題名は忘れられません。絨毯というのは、実は…蟻なのです!)


奇跡の詩」(主人公は、アマゾンに墜落した飛行機搭乗者の唯一の生き残りです。こちらは、ハエが…。)

どちらも、アマゾンを舞台としていて、忘れ得ない映画となっていますが、もしかしたら、偏った印象を植え付けられていたかもしれません。

<後記>「奇跡の詩」はペルーを舞台にしたものだったようです。
 
http://www.hisaya-avenue.blogspot.jp/2015/04/27325.html


滞在中、北杜夫さんの「輝ける碧き空の下で」やNHKのドラマ「ハルとナツ」が話題になっていたので、是非、読んで(視て)みたいと思っています。
 

4.なお、なお…。

ブラジルニッケイ新聞(サンパウロで発行されている日系人等向けの日本語新聞)のウエブ版に、先日、愛知県弁護士会国際委員会で催行したブラジル・サンパウロ視察旅行について掲載されています(↓)。


 

 

2014年9月9日火曜日

タックスヘイブン対策税制に係る更正処分等の取消請求訴訟において、名古屋地方裁判所が㈱デンソーの取消請求をほぼ認容


日本経済新聞2014年(平成26年)9月5日付夕刊に、以下の記事が出ていました(太字は筆者)。
 
名古屋国税局は、デンソーに対し、2009年3月期まで2年間約114億円の申告漏れを指摘し、約12億円を追徴課税した。シンガポールの子会社の所得が、デンソーの所得認定された。
デンソーによると、訴訟では海外に所得を移転して、税負担を軽減するタックスヘイブン(租税回避地)の対策税制が適用されるかどうかが争点だった。海外子会社に事業の運営実態があれば適用除外となる。
デンソーによると、判決シンガポールの子会社の海外事業に実態がある認定。対策税制の適用から除外され、デンソーへの追徴課税処分が取り消されたとみられる。
… デンソーのシンガポール子会社を巡っては、同国税局が11年3月期まで2年間約138億円の申告漏れを指摘し、約61億円を追徴課税した。デンソーはこの処分を巡っても提訴しており今回の司法判断はこの裁判にも影響しそうだ。」

デンソーのニュースリリースでは、「当社は、1990年にシンガポールへ進出して以来、地域統括サービスを中心とした事業展開を推進しており、在籍する人員の殆ど地域統括事業従事し、それに必要な固定施設等の実態備わった健全な事業展開をして参りました。」「適用除外要件を充たすとする当社の請求を認容する判決が言い渡されました。但し、所得金額約114億円のうち、約10億円については、当社の請求が認められませんでした。」(太字は筆者)等とあります。

タックスヘイブン(tax haven*というのは、法人の所得に対する税負担がゼロ、または、極めて低い国・地域のことです。

*ご存知の方も多いと思いますが、heaven(天国)ではなく、haven(避難所、安息の地)です。
 
わが国では、昭和53年からタックスヘイブン対策税制が導入されています。

この税制は簡単にいうと、内国法人等の「外国関係会社」(日本資本全体で計50%超を直接・間接に保有する外国法人)のうち、一定の税負担の水準以下適用対象となるか否かを判定するための基準税率を「トリガー税率」といいます。である「特定外国子会社」の所得に相当する金額について、内国法人等の所得みなし、それを合算して課税会社単位での合算課税)するという制度です。
なので、外国子会社合算税制とも、いわれますね。

この税制は、租税回避の防止が目的であるとされますので、特定外国子会社が、真正の事業活動を行っている場合を想定して設けられた適用除外基準いわゆる事業基準、実体基準、管理支配基準、非関連者基準又は所在地国基準を充たしていれば、合算課税されることはありません

上記引用新聞記事からすると、デンソーと名古屋国税局では、デンソーのシンガポールの子会社(デンソーの主張によれば、在籍する人員の殆ど地域統括事業従事し、それに必要な固定施設等の実態備わっている。)が適用除外基準を充たすかについて、解釈の相違があったと思量されます。

もっとも、この訴訟で両者(デンソーと国)が具体的にどのような主張をしたのかは、判決(名古屋地方裁判所平成26年9月4日判決)をみてみないとわかりません。残念なことに、上記引用新聞記事には、「判決は当事者の申し出で閲覧が制限されており、詳しい判決内容は明らかになっていない。」とあります。 

ところで、平成22年度税制改正では、タックスヘイブン税制(外国子会社合算税制)について、いわゆる「トリガー税率」が引き下げられた(25%→20%以下)ほか、企業実態を伴っていると認められる統括会社(事業持株会社、物流統括会社)の所得については合算対象となるように、適用除外要件等について、見直しがありました。この見直しの趣旨については、最近のグローバル経営を実施する我が国企業は、世界の地域ごと海外拠点を統括する統括会社をおき、その活用により、グループ企業の商流の一本化間接部門の合理化等を通じて、収益向上をはかっているという現状があることから、このような統括会社は租税回避目的で設立されたものとして捉えるのではなく、その地において事業活動を行うことに十分な経済合理性があると評価することが適当であるとされています(「平成22年度税制改正の解説」)。なお、適用除外基準に係る改正は、特定外国子会社等の平成22年(2010年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されますので、恐らくではありますが、訴訟の対象となっているデンソーの2011年3月期までの課税処分とは関係ないでしょう。

判決、もしくは、諸誌等でもう少し詳しい判決の概要を入手できましたら、改正前後の条文を参照しながら、どのような適用除外の解釈がなされ得るのかを検討してみたいと思っています。

<後記>
名古屋高裁は、平成28年2月10日、デンソーを逆転敗訴とする判決を出したようです。
http://www.hisaya-avenue.blogspot.jp/2016/02/28210.html

<後記2>
平成222010)年3月期および平成232011)年3月期について、名古屋地裁平成29126日判決は、デンソーの主張を認め、課税処分を取り消しました。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/02/tokyo-district-courts-decision.html


<後記3>   名古屋高裁平成28年210日判決は、上告審である最高裁平成29年1024日判決で再びひっくり返り、デンソーの逆転勝訴となりました。
https://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/10/291024.html