2022年12月29日木曜日

令和4年が終わろうとしています…

 

令和4年(2022年)も残りわずかとなりました。

ブログ投稿は少なめが定着してまいりました笑

今年も色々なことがありましたが

健康がとにかく大切であると痛感致します。

プライベートでは

今年の半ば頃より、Kindleを利用するようになって

読書時間がお幅に増えましたが

目への負担が大きかったのか

ここのところまた読書時間が減っています。

どんどん登場する新しいツールを上手に利用しつつ

健康で文化的な生活を充実させて行ければ…と思っています。

I wish you all a Happy New Year!!!




名古屋は今年のイブ、雪でした


2022年10月2日日曜日

『次世代ビジネス対応 契約審査手続マニュアル』が出版されました!

 昨年12月に本ブログで「執筆中(共著者の一人)」とお伝えしていた本が、令和4926日付で出版されました。

次世代ビジネス対応 契約審査手続マニュアル -「新しい資本主義」を踏まえた契約類型-』(新日本法規・2022年)
です。
同書は以前ご紹介した『新民法対応 契約審査手続マニュアル』(新日本法規・2018年)のスピンアウト版で、「成長戦略実行計画2020」「成長戦略フォローアップ2020」や岸田総理の「新しい資本主義」を意識した内容となっており、また、従前と同様に書式例が豊富です。
私が担当したのは「第1章 スマート農業に関する契約の審査」の中の「8 攻めの農業①~新品種の共同研究開発契約とブランド化~」です。
スマート林業に関するコラムも掲載されています。

機会がありましたら、お手にとっていただけると嬉しいです。



2022年6月9日木曜日

素朴な質問 あれこれ

 日々に気づく素朴な疑問が物事の本質にかかわっていたり、難問への入口だったりすることって、あるような気がします。そして、そういう素朴な疑問は、多くの場合、大変優秀な先人達が疑問を解消してくださっていたり、深く取り組んでいてくださることが多いです。

思い出すと、幼稚園のお便りに、「『なぜ』がいっぱいですね」と書かれ(先生を困らせていたのでしょうか…震)、長じても、色々な疑問が浮かんでは消えていきます(笑)。

 

1.慣性の法則(なぜ電車の中でジャンプしても後ろに飛ばされないの?)

 小学生の頃、電車に乗っていて、どうして走っている電車の中でジャンプしても後ろに飛ばされないのだろうと、急に不思議に思うようになりました。

 そこで、思いきって、小学校の担任の先生に質問すると、「地面でジャンプして同じ位置に着地するのは普通だと思っているかもしれないが、地球はものすごいスピードで自転しているんだぞ。動いている物にのっている人は、その動いている物と同じスピードで動こうとするから、ジャンプしたからといって、急にその場に留まったりしないのだ。」と教えてくださいました。地球は自転していると知識では知っていましたが、地面がそんなすごいスピードで動いているとは想像できなかったので、ビックリしたものです。中学校に入ると、これは慣性の法則という、ニュートンの運動3法則の第一法則の話なのだと知りました。

 2.国税徴収法に基づく差押(なぜ滞納処分の差押では令状がいらないの?)

  山口県阿武町で4630万円が誤って振り込まれた問題では、当初のなぜ仮差押を迅速に行わなかったのかという批判が、国税徴収法を用いた代理人弁護士の豪腕への賞賛に変わっていったように思えます。

 (誤振込について、似たような?経験があったことについては、以前のブログで触れました…苦笑)。

 国または地方公共団体は、履行の催告として督促を行いそれでも租税が完納されないときは、納税者の財産から租税債権の強制的満足を図ることができます。このような納税者の財産から租税債権の強制的実現を図る手続を滞納処分又は強制徴収といいます(金子宏『租税法24版』1037頁)。

 国税の滞納処分に関する一般法として、国税徴収法があり、関税及び地方税の滞納処分については国税滞納処分の例によることとされています。

 私は、以前、何度か、地方公共団体で債権回収の研修をしたことがありますが、それは、滞納処分という簡易かつ強力な債権確保の方途を与えられていない私債権と非強制徴収公債権に関するものです。やはり、滞納処分ができない債権については、地方公共団体は債権回収に苦労するようですね。

 滞納処分は、狭義の滞納処分と交付要求にわかれます(後者の交付要求は、現に進行中の強制換価手続の執行機関に換価代金の交付を求め、それによって租税債権の満足を図る手続で、弁護士としては、破産管財人をしているときにでてきます。)。

 前者の狭義の滞納処分においては、国税徴収法47条が、「次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押さえなければならない。(以下略)」と規定しています。

 私が国税局で任期付職員をしていた頃、何かのきっかけで、滞納処分による差押の話になり、憲法35条は捜索差押について令状主義をとっており、いわゆるマルサ(国税局査察部)の犯則調査であっても、「地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により」(国税通則法1321項)捜索差押する必要があるのに、滞納処分による差押で令状がいらないのはおかしいのではないかと疑問に思ったことがありました。その際、自分が所有する憲法の基本書などを含め、色々と調べてみてみましたが、満足いく回答は得られませんでした。

 しかし、今回の報道に接し、ふと、単純なことに気がつきました…。債務者が任意に債務を履行しないとき、近代国家では債権者が自力救済をはかることは禁止されており、勝訴判決など債務名義という国のお墨付きを得て、裁判所の強制執行を利用することにより、はじめて権利実現が可能となるところ、滞納処分の場合、国のお墨付きや強制執行が不要なだけなのではと…。

 金子先生の『租税法』を改めて読むと、「私法上の債権については、原則として、その存否および金額について裁判所の判断を経たうえ、司法機関にその履行の強制を求めなければならない。これに対し、租税については、その存否および金額を確定する権限(確定権)と任意の履行がない場合に自らの手で強制的実現を図る権限(強制徴収権・自力執行権)とが租税債権者たる国および地方団体に与えられているわけであるが、これは、租税の確実かつ能率的な徴収を図るためである。」と記載されています。

 阿武町では、昨日(68日)付けで取立権が発生し、約4290万円の回収が完了したと報道されています。全額回収まではいっていませんが、ひとまず、よかったですね。

 3.売買契約において目的物を受領したことによる収入金額の有無(なぜ、売買契約において、売主は代金を受領すると収入金額とされるけど、買主は目的物を受領しても「経済的利益」とならないの?)

  先月、税法学会中部地区で、「ふるさと納税制度において地方公共団体から返礼品を受領した場合の課税関係」という題で、審査請求において請求人の代理人をつとめた案件の報告をする機会がありました。

 主要な争点は、

①審査請求人に本件各返礼品の受領による経済的利益があり、これを一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきか否か

②本件各返礼品の受領による経済的利益があり、これを一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきである場合、本件各評価額が過大であるか否か

 です。

  このうち、①の争点は、現在のように、多くの地方公共団体が、ふるさと納税を仲介する民間のウエブサイト(よく宣伝されているあれです…)を用いて、「所定の寄附をしてくれれば返礼品を提供する」と約して寄附を募集している実態に鑑みれば、返礼品は寄附の対価となっているという事実があり、それを前提としています。

 ふるさと納税の返礼品の受領については、国税庁が一時所得にあたるとの見解(質疑応答事例「『ふるさと納税』を支出した者が地方公共団体から返礼を受けた場合の課税関係」)をだしていますが、この見解がだされたのは、ふるさと納税制度が導入された直後の平成22年であり、一部報道で「官製ネット通販」と揶揄されるほどふるさと納税を仲介するウエブサイトが整備される以前のことです(平成27年度以降、ふるさと納税制度の利用が大幅に増加し、いわゆる返礼品競争が生じたといわれています。)。

 一時所得にあたるというためには、所得税法341項の規定から非対価性要件を充たす必要であるところ、返礼品は寄附の対価となっている事実を前提とすれば、非対価性要件を充たすことはないと考えられます。

  それでは、雑所得になるのか。そのような学説もありますが、私は、そもそも、「経済的利益」(所得税法361項)がないのではないかと考えています。

 というのも、売買契約において、目的物を受け取った側が課税されるというのは聞いたことがありません。これは対価を支払っているからではないかと考えたのです。

 調べてみると、岡村忠生他『ベーシック税法第7版』(有斐閣・2013年)にABに物を売って代金(金銭)を得る売買契約において、Aが受け取る代金は「収入金額」となるが、Bが受け取る物は「収入金額」とならないことについて、記載がありました。ただし、「金銭を出せば収入金額はなく、物を出せばある。収入金額があるかどうかは、入ってきた方ではなく、出て行った方で決まる」という説明で、恥ずかしながら、いまひとつ、しっくりきませんでした。

 税法学会の報告では、出席されていた先生(教授)から、「収入金額に関する一考察」(岡村忠生、法学論叢158巻第56192頁)に、「所得税法を学びはじめた学生がしばしば陥る難問に、資産を購入したとき、収入金額はどうなるか」がとりあげられていると教えていただきました。

 拝読すると、確かに、初学者が気がつきやすいかもしれない…、しかも…、難問だなあ…と思った次第です。

 

2022年5月8日日曜日

ユニバーサルミュージック事件最高裁判決(最判令和4年4月21日)

1. 今日は、3年ぶりの行動制限なし、最大10連休といわれるゴールデンウィークの最終日ですね。
 私は、滋賀県にランチをいただくためにドライブした以外は、自宅でゆっくり過ごしました。
 懸案だった自室の片付けも、少しだけ、成果がありました。
 ところで、コロナの第6波はピークアウトしたのでしょうか…。
 日本はマスクを義務化していない分、マスクの習慣がなくなるのは、当分先のことに思われます…。
 コロナに次いで、最近の話題として思い浮かぶのは、まず、ロシアのウクライナへの侵攻です。ウクライナで、人々が爆撃に慣れ、日常が戻りつつあるという報道をみて、本当に、胸が痛みます。ウクライナへの侵攻については、米国がいち早く警告していたわけですが、これが現実のものになってはじめて、チェチェン、ジョージア、クリミヤなどへの侵攻の際に、国際社会はどう対応していたのだろうかと、改めて考えさせられました。何ごとも蟻の一穴からといいますが、そういう変化を見落とさないように…と思わずにはいられません。

 

2. 先日、ユニバーサルミュージック事件の最高裁判決(最判令和4421)がでました。
 ユニバーサルミュージック事件については、控訴審判決までをとりあげて、租税訴訟No.142021615日発行)に寄稿したことがあります。
 事案の概要はそちらに譲りますが、いわゆるデット・プッシュ・ダウン(debt push down。一般に、親会社が、借入金の返済に係る経済的負担を、企業グループの資本関係の下流にある子会社に負担させること。)の事案だといわれています。
 最高裁は、納税者Xを勝訴とした第一審、控訴審を支持し、国Yの上告を棄却しました。
 この事案では、Xのグループ会社からの借入れ(本件借入れ)に係る支払利息の損金算入(の原因となる行為)を、法人税法1321項(同族会社の行為計算否認規定)を用いて否認したので、1321項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(いわゆる不当性要件)を、最高裁がどのような基準を用いて判断するのかが注目されていました。
 この点、最高裁は、「同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいうと解するのが相当である。」と判示し、これまでの判例・通説である経済合理性基準を採用しました。
 その上で、最高裁は、「同族会社等による金銭の借り入れが上記の経済的合理性を欠くものか否か」と本事案に即した問題提起をし、総合的に考慮して判断すべき諸事情として、「当該借入れの目的や融資条件等」をあげつつも、「本件借入れのように、ある企業グループにおける組織再編成に係る一連の取引の一環として、当該企業グループに属する同族会社等が当該企業グループに属する他の会社等から金銭の借入れを行った場合において、当該一連の取引全体が経済的合理性を欠くときは、当該借入れは、上記諸事情のうち、その目的、すなわち当該借入れによって資金需要が満たされることで達せられる目的において不合理と評価されることになる。」とし、更に、「当該一連の取引全体が経済的合理性を欠くものか否かの検討に当たっては、①当該一連の取引が、通常は想定されない手順や方法に基づいたり、実態とはかい離した形式を作出するなど、不自然なものであるかどうか、②税負担の減少以外にそのような組織再編成を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮するのが相当である。」と判示しました。
 どうでしょうか…。不当性要件の判断基準はやはり複雑になってきている気がしてしまいます。ただ、経済合理性基準は堅持されているんですよね(この基準は、「不当」という文言が条文にない時代から判例にあらわれたものなんですが…)。
 ということで、不当性は経済合理性の有無で判断する、でも、総合考慮すべき諸事情について、金銭の借入れに射程をしぼり、目的、融資条件等をあげている。でも、グループ内での借入れで全体的に経済的合理性を欠くかが問題となる場合に考慮すべき事情は、先にあげた諸事情のうち、目的(当該借入れによって資金需要が満たされることで達せ得られる目的)で評価するとし、さらに、一連の取引全体で経済的合理性を欠くか否かを判断するときに考慮する事情として、①及び②をあげている…。ちなみに、①及び②は、下表の通り、ヤフー事件上告審判決(最判平成28229日)が採用した制度濫用基準における濫用の有無を判断する際に考慮すべきとした「事情」に似ており、それは、金子宏教授の異常変則性・事業目的併用説に遡るといわれています。
 ①及び②という事情を考慮すべき場面をこんなに限定する必要があるのでしょうか…。というか、他の事件で経済合理性を判断する際、たとえば、グループ内の借入れではないけど、グループ内のスキーム全体で経済的合理性の有無が問題となるような場合に、①及び②という事情は考慮されるのでしょうか。最高裁判例解説がでれば、きっとこの問いにこたえてくれることと思いますが…。
 というのも、最高裁は、あてはめ部分で、ⓐ本件借入れがその目的において不合理と評価されるか否か、を検討した上で、ⓑ本件借入れに係るその他の事情を考慮して、本件借入れが経済的合理性を欠くかを判断しているのですが、ⓐでは、今回の本件組織再編取引等には、日本の関連会社の資本構成に負債を導入する目的があったこと、その結果として、本件支払利息の損金算入により大幅に法人税の額が減少したことを認め、合併前に多額の利益が生じていたXの税負担の減少がその目的に含まれていたことまでを認めているのです! でも、本件組織再編取引等には別に合理的な目的があり、①通常は想定されないような手順や方法に基づいたり、実態とはかい離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるとまではいえず、②税負担の減少以外に本件組織再編取引等を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在したものということができる、として、本件借入れはその目的において不合理と評価されないという結論を導いています。つまり、税負担軽減目的を認めながら、他に事業目的があるからOKといってることになります。企業がある事業目的を達成しようとするときに、税負担が少しでも少なくなるような方法を選ぶのは当然のことですから、双方の目的が混在する場合にこのように判断してくれるのなら、是非、経済合理性の考慮事情にはっきりと事業目的の有無をいれてほしいですよね。
 なお、最高裁は、ⓑの部分では、本件借入れが無担保で行われ、しかも、本件借入れが一因となってXが債務超過になってしまったことにより、本件借入れに「独立かつ対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引とは異なる点」があると認めています。しかし、これについても、本件借入れがグループの内国法人を支配下におくための株式購入代金だったこと、本件借入れの利息や返済期間はXの予想される利益に基づいて決定されていうことなどから、「このような点があることをもって、本件借入れが不自然、不合理なものとまではいい難い。」と結論づけています。
 以上は、ざっと読んだ感想まじりの判決文紹介でして、これから沢山の評釈がでると思うので、引き続き、勉強していきたいと思います。

 

本判決のあげる事情

ヤフー事件上告審の事情

異常変則性・事業目的
併用説(金子説)

①当該一連の取引が、通常は想定されない手順や方法に基づいたり、実態とはかい離した形式を作出するなど、不自然なものであるかどうか

①当該法人の行為又は計算が、通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり、実態とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどうか

①当該の具体的な行為計算が異常ないし変則的であるといえるか否か

②税負担の減少以外にそのような組織再編成を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか

②税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか

②その行為・計算を行ったことにつき租税回避以外に正当合理的な理由ないし事業目的があったと認められるか否か

 

  

2022年1月5日水曜日

令和4年が明けました

 

令和も4年目となりました。

今年は寅年(壬寅、みずのえとら)ですね。

虎は毘沙門天の使いということで、帰省した折りに、神楽坂の毘沙門天(善國寺)に初詣でにいってきました。
今年こそは、マスクを手放し、コロナ禍以前の日常が戻りますように…。

神楽坂というと
バブルの頃に飲みにいきだす前に読んだ
「忍ぶ川」を思い出します。

狛虎だそうです。