2016年1月31日日曜日

豊田佐助邸の梅と民法(債権法)の改正


1. (1) 今週末、名古屋の冷え込みは、思ったほどでもなかったです。

(2) 旧豊田佐助邸では、早くも、梅の花がほころんでいました(↓)。
 去年は、2月の終わりに、梅が咲いたとのブログに書いていたので、今年は、比較的早い梅の開花といえるのでしょうか…。

梅の花と旧豊田佐助邸の洋館
 
梅の花と旧豊田佐助邸の和館

(3) 豊田佐助さんという方は、自動織機で有名な豊田佐吉さん(長男)の弟さん(三男)です。
 ボランティアガイドさんによれば、旧豊田佐助邸は、元々は、豊田佐吉さんのお嬢さん、愛子さんとそのご主人、利三郎さんという新婚カップルのために建てられたとのこと。その頃は、白いタイル貼りの洋館のみだったそうです。その後、利三郎夫妻は、ご近所に引っ越したため(こちらは、現在マンションになっており、門と塀のみ、「旧豊田家門・塀」として、紹介されています。)、佐助さん一家が同邸に移り住み、和館も建てられたといいます。
 ちなみに、現在のトヨタ自動車社長である豊田章男氏は長男筋(佐吉さんからするとひ孫)、佐助さんの家系はアイシン精機などを率いていた関係で、同邸の現所有者もアイシン精機であり、名古屋市は、同邸を所有者から無償で借用し、一般に公開しているとのことです。

(4) ボランティアガイドさんは、とても丁寧に解説してくださり、同邸にいくなら、やっぱり、解説付きがおすすめです!
 一番、興味を惹かれた話は、蔵への隠れた入り口について。
 蔵のすぐ脇に、井戸のような外観のものが残っており、それが実は、トンネルを通じて、蔵への隠れた入口になっているというのです。
 同邸の和館の棟上げは大正
12年。蔵の建築年は定かではありませんが、以前は、洋館の裏に台所等がそなわっており、蔵まで、繋がっていたといいます。
 隠れた入り口を別に設けた理由はわかっていないそうですが、ご存命でいらっしゃる佐吉さんのお嬢さんは、「小さいとき、蔵で遊んでいたら、突然、父が、蔵の床から現れた…」というようなことをおっしゃっているそうです。
 

2. (1) ところで、先週、愛知県弁護士会で民法(債権関係)改正に関する研修がありました。民法改正に関する研修は、既に、何度も行われていますが、今回は、3回連続の3回目、慶應義塾大学の鹿野菜穂子教授をおよびして、行われました。

(2) 債権法改正というと、ことの発端は、今から遡ること6年ちょっと前。
 平成21年(2009年)10の法務大臣から法制審議会への諮問を受け、同年11月、法制審議会に、民法(債権関係)部会設置されたことにはじまります。
 まずは、論点整理が行われ(1ステージ)、平成25年(2013年)に中間試案が発表されました(2ステージ)。
 そして、遂に、昨年(平成27年、2015年)改正法案(「民法の一部を改正する法案」)としてまとめられ(3ステージ)、331日閣議決定、同日、第189回通常国会に提出され、現在、第190回通常国会においても、衆議院で継続審議とされています。

(3) 民法は、私法の一般法であり、「総則」、「物権」、「債権」、「親族」、「相続」5編からなります。このうち、前三者を財産法、後二者を親族法とよんだりします。
 今回の改正は、債権関係なので、3編「債権」が中心ですが、日本の民法典は、パンデクテン方式といって、一般的な規定が第1編「総則」にまとめられているので、1編「総則」の改正も含まれます。
 第1編から第3編までは、根抵当権の条項が加えられたりという改正もありましたが、そのほとんどは、明治29年(1896年)に制定されたままでしたので、今度の大改正は、債権関係について、実に120年ぶりに見直すものといえるでしょう。

(4) 今回の民法改正は、消滅時効、法定利率、保証法制など、私たちの生活に影響をおよぼし得る改正を含みますが、未だ、法案が通っていない段階ですので、具体的な改正の中身については、おって、ご紹介していきたいと思います。
 今日は、民法改正そのものに対する感想を…。
 民法改正のための部会ができた後、弁護士の間では、これに反対する意見が噴出したように思います。
 私自身も、実は、民法を改正してほしくないなあ…と思っていました。
 それは、単純に、今の民法で、実務家として、不足、不便を感じていなかったということもあります。明治にできた民法が時代にそぐわなくなっている部分があるのは確かですが、個別の改正でも対応できないことはないのではないか…。そして、もっと本音をいえば、民法も、会社法のように全面改正されると大変だなあ…というのも、正直、なかっとはいえません。
 司法試験に合格したというと、驚いたことに、「六法全書を暗記したんでしょう。」といわれることが結構あります。勿論、そんなことは、ありません。でも、司法試験で勉強した科目については、それなりの勉強時間を費やしていますから、どこにどのような条文があるのかは、だいたい、把握しているものです。特に、択一試験の科目であった憲法、民法、刑法というのは、条文の丸暗記まではさすがにしていませんが、条文の一字一句に至るまで、神経を使って勉強しておりましたのは、確かです。その民法ががらりと変わってしまうのは、やはり、つらい…と思わないはずはありません(実際には、条文の配置は、そんなに変更がなくて、ほっとしました…)。

 もっとも、平成23年(2011年)から平成24年(2012年)にかけて2ステージの頃内田貴東大名誉教授(法務省経済関係民刑基本法整備推進本部参与)のお話をうかがう機会が、2回ほどあり、その真摯なお話振りに、だんだん考えが変わっていきました。
 例えば、立法にコストベネフィット分析が必要なのは当然だが、民法改正には日本社会にとって長期的メリットがある、すなわち、民法を現代化することにより、国民にとってわかりやすくなるだけでなく、外国から見てもわかりやすくなる、そしてなんと、国際取引での準拠法としての魅力も増し、日本企業にとっての取引コストを下げる…等とまでおっしゃるのです。そのような近未来が民法改正により実際に訪れるものであろうか…とも思いますが、そこまで考えていらっしゃる内田先生の理想の高さに、感銘を受けもしました。
 また、中間的論点整理とこれに対する批判を丁寧に説明され、自らの説で民法をつくりかえようなんていう意図はまったくないのだ…と穏やかに話される姿も、印象的でした。
 とはいえ、民法改正案をみると、(詳しい経緯は存じませんが)債務不履行法制や売主の担保責任は、やはり、契約責任説がベースになっているなあ…などとも思います。
 この辺りは、内容にかかわるので、今後、また、取りあげてみたいと思います。

2016年1月21日木曜日

「ポチの活躍」


1. 日付が変わってしまったので、昨日120日)になりますが、名古屋でも、今シーズン初めて、雪が積もりました。
 一昨年の大雪に比べると、積雪は少なかったように思います。
出勤前の雪かきを終え、久屋大通公園を通ると、誰かがつくった、ちょっぴりシュールな雪像が…(↓)。
   
久屋大通公園のちょっぴりシュールな雪像

2. ところで、一昨日119日)の日経新聞夕刊に、前厚生事務次官の村木厚子さんの「ポチの活躍」というコラムがでていました。
 村木厚子さんといえば、「郵便不正事件」において、検事の証拠改ざん(フロッピーディスクの作成日付改ざん)を自ら見破り、無罪への道を切り開かれた強者…。
 その村木厚子さん、お嬢さんが小さい頃、仕事と子育ての両立で、いつも時間に追われ、イライラ…「早くしなさい」「ちゃんとやりなさい」と叱ってばかりの自分を憂慮し、ポチが活躍するように…。すなわち…

 母が娘を「早く○○しなさい」「○○しちゃダメ」と叱ると、娘は「ポチ」とよぶ。すると、どんな状況でも、母は、「ワン」と返事をする。

 この母と娘のやりとり、ものすご~く気に入ってしまいました(笑)。主従の関係を逆転してみる効用もあるのかもしれませんが、純粋に、クールダウンさせる方法として、気が利いているように思います。
 コラムは、「家族に愚痴を聞かせたくない人に、ポチを飼うことをお勧めする」としめくくられています。
 我が家も、ポチを飼おうかしら…。

2016年1月7日木曜日

七草粥とガレット・デ・ロワ


1.七草粥
 今日は人日の節句。
 七草粥を炊いて、いただきました。
 といっても、我が家はいつも、七草だけでなく、ニンニクと梅干を入れます。厳密には、七草粥とはいえないのでしょうか。
 もっとも、七草粥は、地方によって、様々だとか…。
 名古屋の義母にきいたところ、勿論、ニンニクなどいれたりしなかったそうですが、商家だったので、前日6日に、小僧さんが以下のような唄をうたいながら七つの調理道具で七草を叩いていたといいます。
 ♪七草なずな唐土の鳥 渡らぬ先に 七つ七草そろえ ストトトトン
 お正月の色々な慣習にも話がおよび、お帳とじという行事や、小豆とお餅の入ったお粥がふるまわれたことなどをききました。
   


七草粥(もどき?)と干支のワイン。
七草粥は、正月料理で疲れた胃を休めるといいますが、
ワインとでは…(苦笑)。

 
2.ガレット・デ・ロワ(galette des rois
 話は、がらりとかわりますが…(笑)。
 最近、クリスマス頃から、お正月明けまで、デパート等で、ガレット・デ・ロワというお菓子を売っています。
 私は、ここ十何年か、このお菓子を楽しみにしています。
 
 ガレット・デ・ロワの中には、フェーブ(Feves)と呼ばれる小さな陶器が入っていて、切り分けられた中にフェーブが入っていると、金色の紙製の王冠をかぶれる(=その日、王様になれる)というもの。
 なんか、楽しいですよね♪
 最近は、フェーブが別添になっていて、淋しいです。

 ガレット・デ・ロワは、本来、公現祭(16日。嬰児(みどりご)イエズス様のもとに、東方の三博士がお祝いに駆け付けた日。)に食べられるフランスの伝統菓子だそうで、その起源は、古代ローマにも遡れるとか…。
 七草粥も、古く中国より伝わったといいます。
 節操なく様々な食文化を楽しんでいて、少々、お恥ずかしいですが、そのルーツに想いを馳せるのは楽しいなあ…とも思います。

 
  

  今年のガレット・デ・ロワ(別添のフェーブを裏から入れちゃいました♪)
今までのフェーブから…

2016年1月1日金曜日

新年を迎えて

 2016年を迎えました。
 旧年中は、ご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
 本年は、今まで取り組んできた分野を大切にしつつ、新しいことにも挑戦していきたいと思っております。
 ブログも、これまで通り、細々とでも続けていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
かわいい屠蘇器と母からもらったお正月飾り