2014年9月19日金曜日

ブラジル・サンパウロの治安とお食事などについて


1.夜、虫の声が聞こえるようになり、めっきり秋らしくなりましたね。

ブラジル・サンパウロ視察旅行の訪問先等については、既に、先日触れましたが、今日は、ブラジル・サンパウロ治安お食事などについて、短い滞在中に感じたことなどを書いてみたいと思います。

2.ブラジル・サンパウロ治安について

外務省HPの「危険情報」「十分注意」となっており、「サンパウロ市内においては、信号待ちや渋滞等停車中の車両利用者及び歩行者を狙ったけん銃使用の路上強盗事件等の凶悪犯罪が、パウリスタ大通り等の身近なところでも多発しており、ブラジル人だけでなく日本人も被害に遭っています」等とあります。

視察旅行中、基本的に、移動は貸切バスで行い、サンパウロ在住の大嶽弁護士が同行してくださいましたが、常に、緊張を緩めることはできませんでした

一日だけ、朝、視察旅行のメンバー3名で、パウリスタ大通りの本屋さんまで歩いて行きましたが、後ろから追いついてきた別のメンバーに、「日本人だとまるわかり」と言われてしまいました(苦笑)。

件の本屋さんが開店前だったため、恐る恐るパウリスタ大通りに面したシケイラ・カンポス公園を散策して時間を潰しました。

時間と場所を選べば…と事前に案内を受けていましたが、何事もなく、無事に帰ってこられて、本当に良かったです。

 
ホテルのロビーで、スリとおぼしき若者に目をつけらたことが一度だけありましたが、同行メンバーの機転で事なきを得ました(感謝)。
 
朝のパウリスタ大通り
(なるべくカメラを外にだして持ち歩かないようにと注意を受けました。)


ところで、サンパウロ市民が赤信号でも横断報道を渡っているところを、よく見かけました。

冒頭の外務省のHPには、前述の通り、「信号待ち渋滞等停車中車両利用者及び歩行者を狙ったけん銃使用の路上強盗事件」とあります。

このことで、思い出したのが、大学生時代、イギリスの語学学校に3カ月ほど通ったときのこと。

私のクラスに、日本人は私1人で、あとは、ヨーロッパ、中東、東南アジア、中南米等、世界各国から生徒達が集まっていました。

ある授業で、「真夜中に車で走っていて、他に車がなく、信号が赤の場合、交差点をわたるか?」と質問されました。この質問を通して、各国生徒の国民性を話題とする趣旨だったのだと思います。確か、ドイツ人と日本人(私)は、「渡らない」とこたえました。多数意見は、「他に車がなかったら、渡るだろ!」というものでした。クラスで、わいわいと語り合っていると、コロンビア人が、「コロンビアでは、夜中に信号が赤でも止まらない。なぜなら、とまったら、けん銃で撃たれるからだ。」旨、発言しました。
すると、流石に、何とも冷たい空気がクラスに流れたように記憶しています。

もっとも、コロンビアの治安は、だいぶよくなったと聞いておりますが…。

 
3.ブラジル・サンパウロお食事について

今回の視察旅行で、お食事は、漏れなく、ビュッフェ形式でした。
手前右のお鍋が、有名なフェイジョアーダ(Feijoada)
 
ブラジル料理といえば、シュハスコChurrasco)が思い出されます。

シュハスコを供するシュハスカリアChurrascaria)にも行きました。

お店のお兄さんが、串に刺したままのお肉等を持ってテーブルをまわってくれて、お客が、欲しければ、その旨意思表示すると、お兄さんが、切り分けて、お皿に入れてくれるというシステムです(シュハスコ以外のお料理は、ビュッフェです)。牛肉は、部位によっては、とても柔らかく、おいしかったです♪

鳥の心臓は、…少し、硬かったかも…。
 
シュハスコを焼いているところ

大嶽弁護士お薦めのFolha de Uvaというレバノン料理のレストランも、大変、よかったです。
確かに、日本人の口にあうと思いました。
生肉のお料理も、大丈夫。
トルコ料理に、少し、似ているかもしれません…。
お店の内装もお洒落でした。
 
ブラジル産のワインもいただきました。

日本ではあまり見かけないブラジルワインは、飲みやすかったです。
Marcus James, Serra Gaucha, Brazil

 
朝、散策した際いただいたスタンドのポン・ジ・ケージョPão de queijo)も、印象に残っています。マテ茶といただきました♪

 
3.ブラジルに行く前に、読んだ、みた映画

ブラジルに行く直前に読んだは、
ブラジルを知るための56章(第2版)」(アンジェロ・イシ著)。

冒頭の「黒いペレと白いセナ」にはじまり、大変、わかりやすい切り口で、ブラジルを紹介してくれていました。

ちょっと前に読んだ本は、「ブラジル巨大経済の真実」(鈴木孝憲著)。 

もっと以前に読んだでは、
医者も結婚もやめてジャングルへ行く!」(林美恵子著)。
ものすごく強烈なインパクトを残しています。
著者はその後どうしていらっしゃるんだろう…と、ブラジルに行く行かないにかかわらず、勝手に気にしていたものですが、今回の視察旅行で消息を聞くことはありませんでした。 

それよりももっと以前にテレビでみた映画では、何と言っても、

黒い絨毯」(小学生くらいのときにみたのですが、この題名は忘れられません。絨毯というのは、実は…蟻なのです!)


奇跡の詩」(主人公は、アマゾンに墜落した飛行機搭乗者の唯一の生き残りです。こちらは、ハエが…。)

どちらも、アマゾンを舞台としていて、忘れ得ない映画となっていますが、もしかしたら、偏った印象を植え付けられていたかもしれません。

<後記>「奇跡の詩」はペルーを舞台にしたものだったようです。
 
http://www.hisaya-avenue.blogspot.jp/2015/04/27325.html


滞在中、北杜夫さんの「輝ける碧き空の下で」やNHKのドラマ「ハルとナツ」が話題になっていたので、是非、読んで(視て)みたいと思っています。
 

4.なお、なお…。

ブラジルニッケイ新聞(サンパウロで発行されている日系人等向けの日本語新聞)のウエブ版に、先日、愛知県弁護士会国際委員会で催行したブラジル・サンパウロ視察旅行について掲載されています(↓)。


 

 

2014年9月9日火曜日

タックスヘイブン対策税制に係る更正処分等の取消請求訴訟において、名古屋地方裁判所が㈱デンソーの取消請求をほぼ認容


日本経済新聞2014年(平成26年)9月5日付夕刊に、以下の記事が出ていました(太字は筆者)。
 
名古屋国税局は、デンソーに対し、2009年3月期まで2年間約114億円の申告漏れを指摘し、約12億円を追徴課税した。シンガポールの子会社の所得が、デンソーの所得認定された。
デンソーによると、訴訟では海外に所得を移転して、税負担を軽減するタックスヘイブン(租税回避地)の対策税制が適用されるかどうかが争点だった。海外子会社に事業の運営実態があれば適用除外となる。
デンソーによると、判決シンガポールの子会社の海外事業に実態がある認定。対策税制の適用から除外され、デンソーへの追徴課税処分が取り消されたとみられる。
… デンソーのシンガポール子会社を巡っては、同国税局が11年3月期まで2年間約138億円の申告漏れを指摘し、約61億円を追徴課税した。デンソーはこの処分を巡っても提訴しており今回の司法判断はこの裁判にも影響しそうだ。」

デンソーのニュースリリースでは、「当社は、1990年にシンガポールへ進出して以来、地域統括サービスを中心とした事業展開を推進しており、在籍する人員の殆ど地域統括事業従事し、それに必要な固定施設等の実態備わった健全な事業展開をして参りました。」「適用除外要件を充たすとする当社の請求を認容する判決が言い渡されました。但し、所得金額約114億円のうち、約10億円については、当社の請求が認められませんでした。」(太字は筆者)等とあります。

タックスヘイブン(tax haven*というのは、法人の所得に対する税負担がゼロ、または、極めて低い国・地域のことです。

*ご存知の方も多いと思いますが、heaven(天国)ではなく、haven(避難所、安息の地)です。
 
わが国では、昭和53年からタックスヘイブン対策税制が導入されています。

この税制は簡単にいうと、内国法人等の「外国関係会社」(日本資本全体で計50%超を直接・間接に保有する外国法人)のうち、一定の税負担の水準以下適用対象となるか否かを判定するための基準税率を「トリガー税率」といいます。である「特定外国子会社」の所得に相当する金額について、内国法人等の所得みなし、それを合算して課税会社単位での合算課税)するという制度です。
なので、外国子会社合算税制とも、いわれますね。

この税制は、租税回避の防止が目的であるとされますので、特定外国子会社が、真正の事業活動を行っている場合を想定して設けられた適用除外基準いわゆる事業基準、実体基準、管理支配基準、非関連者基準又は所在地国基準を充たしていれば、合算課税されることはありません

上記引用新聞記事からすると、デンソーと名古屋国税局では、デンソーのシンガポールの子会社(デンソーの主張によれば、在籍する人員の殆ど地域統括事業従事し、それに必要な固定施設等の実態備わっている。)が適用除外基準を充たすかについて、解釈の相違があったと思量されます。

もっとも、この訴訟で両者(デンソーと国)が具体的にどのような主張をしたのかは、判決(名古屋地方裁判所平成26年9月4日判決)をみてみないとわかりません。残念なことに、上記引用新聞記事には、「判決は当事者の申し出で閲覧が制限されており、詳しい判決内容は明らかになっていない。」とあります。 

ところで、平成22年度税制改正では、タックスヘイブン税制(外国子会社合算税制)について、いわゆる「トリガー税率」が引き下げられた(25%→20%以下)ほか、企業実態を伴っていると認められる統括会社(事業持株会社、物流統括会社)の所得については合算対象となるように、適用除外要件等について、見直しがありました。この見直しの趣旨については、最近のグローバル経営を実施する我が国企業は、世界の地域ごと海外拠点を統括する統括会社をおき、その活用により、グループ企業の商流の一本化間接部門の合理化等を通じて、収益向上をはかっているという現状があることから、このような統括会社は租税回避目的で設立されたものとして捉えるのではなく、その地において事業活動を行うことに十分な経済合理性があると評価することが適当であるとされています(「平成22年度税制改正の解説」)。なお、適用除外基準に係る改正は、特定外国子会社等の平成22年(2010年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されますので、恐らくではありますが、訴訟の対象となっているデンソーの2011年3月期までの課税処分とは関係ないでしょう。

判決、もしくは、諸誌等でもう少し詳しい判決の概要を入手できましたら、改正前後の条文を参照しながら、どのような適用除外の解釈がなされ得るのかを検討してみたいと思っています。

<後記>
名古屋高裁は、平成28年2月10日、デンソーを逆転敗訴とする判決を出したようです。
http://www.hisaya-avenue.blogspot.jp/2016/02/28210.html

<後記2>
平成222010)年3月期および平成232011)年3月期について、名古屋地裁平成29126日判決は、デンソーの主張を認め、課税処分を取り消しました。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/02/tokyo-district-courts-decision.html


<後記3>   名古屋高裁平成28年210日判決は、上告審である最高裁平成29年1024日判決で再びひっくり返り、デンソーの逆転勝訴となりました。
https://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/10/291024.html

2014年9月2日火曜日

愛知県国際委員会でブラジル、サンパウロを訪問しました。


今朝の名古屋は、空が高く、秋の訪れの気配を感じさせられました。

先月(8月)24日から31日まで、愛知県弁護士会国際委員会ブラジル・サンパウロ視察旅行に参加してまいりました。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、在留外国人統計によれば、都道府県別在留ブラジル人総数のトップが、愛知県です(1位 愛知県 48,730人、2位 静岡県27,622人)。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001118467

愛知県の外国人住民数のトップも、ブラジル人です(平成25年度末現在、全体の24.6%)。
http://www.pref.aichi.jp/0000072886.html

愛知県で弁護士をしていると、在留資格や入管のサポート等で、在留ブラジル人の方の相談を受けることは稀でないといえるでしょう。

愛知県や静岡県に在留ブラジル人の方が多いのには、出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)の改正平成2年施行により「定住者」(入管法別表第二)の在留資格設けたところ、当該在留資格には、入管法上活動の制限がないことから、当面の就労を目的とした日系人が家族を伴って多数来日するようになったという背景があります。「定住者」という在留資格は、特に「我が国社会との血のつながり」を考慮した外国人の受け入れの枠組みであるとされます(法務省HPより)。入管法別表第二では、「定住者」を「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」と規定するのみですが、平成2年法務省告示第132(いわゆる「定住者告示」)はこれを具体化しており、一定の日系人の方は、当該告示三号、四号に当たり得ます。

そして、ブラジルは、世界最大の日系人居留地であるとされます。2008年日本人移民100周年にあたり、皇太子殿下がブラジルをご訪問されました。最近では、安倍総理大臣が、本年7月31日から8月2日にかけて、ブラジリア及びサンパウロを訪問されたばかりですね(日本の総理がブラジルを訪問したのは、小泉元総理以来10年ぶりとのこと。どこの日系訪問先でも、この話題がでました。)

前置きが長くなりましたが、今回のブラジル・サンパウロ視察旅行は、特に、ブラジルでの日系人の歴史及び現状に触れることができる大変良い企画であったと思います。

訪問した先は、以下の通りです(訪問順)。

在サンパウロ日本国総領事館

ブラジル日本商工会議所Câmara de Comércio e Indústria Japonesa do Brasil

ブラジル日本都道府県人会連合会Federação das Associações de Províncias do Japão no Brasil, KENREN

国外就労者情報援護センターCentro de Informação e Apoio ao Trabalhador no Exterior, CIATE

サンパウロ大学法学部Faculdade de Direito da Universidade  de São Paulo, USP
サンパウロ大学の母体となった法学部は、市の中心部にあります。
サンパウロ州第一審裁判所Tribunal de Justiça do Estado de São Paulo
ジョアン・メンデス広場にあるサンパウロ州第一審裁判所。
トニア裁判官がとても親切に案内してくださいました。
二宮正人弁護士サンパウロ栄誉市民授与式(於 市議会講堂)
授与式の後には、立食パーティーもありました。
ブラジル日本文化福祉協会Sociedade Brasileira de Cultura Japonesa e de Assistência Social

サンパウロ日伯援護協会Beneficência Nipo-Brasileira de São Paulo

ブラジル愛知県人会Associação Aichi do Brasil

ブラジル日系移民資料館

二宮正人弁護士法律事務所
少し郊外にある瀟洒な邸宅が二宮先生の事務所です。
JETROサンパウロ事務所

今回の視察旅行の訪問先は、CIATEに専務理事兼事務局長として赴任されている大嶽弁護士(愛知県弁護士会会員)にアレンジしていただいたものです。訪問先を通して、大嶽弁護士の現地社会でのご活躍を肌で感じることができました(総領事に日系ブラジル人弁護士と間違われたほどです。)

訪問の詳細については、事務所通信として、発信したいと思っています。


→ <後記>
ブラジル・サンパウロ視察旅行記を、事務所通信第3号に載せました。
ブラジルの裁判所、日本移民と日本在留日系ブラジル人、対伯投資とブラジルコスト等について、触れています。

国際委員会の視察旅行等は、毎回、その趣旨に大同小異はあれど、いずれも、弁護士活動の礎となるような貴重な経験を得る機会となっています。


ちなみに、これまでの国際委員会の視察旅行等についての感想等は、以下のサイトにあります。

・モンゴル訪問(2008年) → 愛知県弁護士会会報「ソフィア」
http://www.aiben.jp/page/library/kaihou/2009_mongol.html

・上海短期研修(2013年)、上海視察旅行(2008年)
www.hisaya-ave.com/syanhai14.2.12.pdf

・ベトナム司法制度視察旅行(2013年)
www.hisaya-ave.com/aitiken14.2.12.pdf

・ミャンマー視察旅行(2014年) → 「事務所通信」第一号
http://www.hisaya-ave.com/tsushinno1p2.html