2017年2月6日月曜日

デンソーのタックスヘイブン対策税制に関する名古屋地裁判決Tokyo District Court's decision regarding the anti-tax haven rules、「アジア諸国の親子関係における子の最善の利益に関する国際会議」International Conference on the Best interest of the Child Policy regarding on Parenting after Divorce


1.デンソーのタックスヘイブン対策税制に関する名古屋地裁判決
Tokyo District Court's decision regarding the anti-tax haven rules


デンソーのシンガポール子会社へのタックスヘイブン対策税制適用の可否が争点となった訴訟につきましては、以前、このブログでとりあげたことがあります(↓)。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2016/02/28210.html
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2014/09/blog-post_9.html
 上記ブログでとりあげたように、平成202008)年3月期および平成212009)年3月期については、デンソーが、租税特別措置法66条の6(いわゆるタックスヘイブン対策税制)によりシンガポール子会社の課税対象留保金をデンソーの所得に合算するなどとしてなされた更正処分の取り消しを求めたのに対し、名古屋地裁平成2694日判決は、デンソーの主張を認め、課税処分を一部取り消したものの、名古屋高裁平成28210日判決は、原審の国敗訴部分を取り消し、デンソーが逆転敗訴していました。
 ところが、今度は、平成222010)年3月期および平成232011)年3月期について、名古屋地裁平成29126日判決が、デンソーの主張を認め、課税処分を取り消したとのこと。報道によれば、同判決は、子会社の「主たる事業」は「株式の保有」ではなく、地域統括事業だったと指摘し、タックスヘイブン対策税制の適用除外にあたると判断したようです。
 名地判平成29126日についてはまだ入手しておりませんが、事業年度が違うとはいえ、ほぼ同様の争点であったと思われるのに、デンソーの主張を認めた名地裁が名高裁によりひっくり返された後に、再び、名地裁がデンソーの主張を認めたように見受けられ、興味深く思うとともに、「主たる事業」の判断の難しさ、ひいては、予測可能性・法的安定性の低さに困惑を禁じ得ません。
 この件については、また、事務所報などで触れる機会があればと思っています。
 

The Tokyo District Court in its decision dated January 26, 2017, repealed an order by tax authorities for DENSO Corporation, a leading global automotive supplier, to pay about 6.1 billion yen in tax for the two fiscal years ending in March 2010 and March 2011.
Under the anti-tax haven (CFC) rules, an income of a "Specific Foreign Subsidiary", is apportioned to the income of the Japanese parent company, unless it qualifies for an exemption by satisfying the tests, such as "an Active Business Test",  provided in Article 66-6 (3), the Act on Special Measures Concerning Taxation.
The Court decided that DENSO’s subsidiary in Singapore was covered by the exemption of the rules. 

→  <後記>   平成202008)年3月期および平成212009)年3月期についての名古屋高裁平成28年210日判決は、上告審である最高裁平成29年1024日判決で再びひっくり返り、デンソーの逆転勝訴となりました。
https://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/10/291024.html


2.「アジア諸国の親子関係における子の最善の利益に関する国際会議」
International Conference on the Best interest of the Child Policy regarding on Parenting after Divorce


 本日、名古屋大学で開催された「アジア諸国の親子関係における子の最善の利益に関する国際会議」に行ってきました。
 午前の部は、お二人の発表、すなわち、
「離婚後の親権・監護権者決定(日本)」のタイトルで小川富之教授(福岡大学・法科大学院)が、
「高葛藤ケースへの対応-面会について当事者の抱える困難と子供の福祉」のタイトルで立石直子准教授(岐阜大学)が、
発表されました。
 小川教授は、前回のブログでとりあげた東京高判平成29126日(100日面会交流事件判決)のために、意見書(控訴人=妻側)を提出されたそうで、当該意見書および判決の概要についても触れてくださいました。
 また、立石准教授は、離婚する夫婦が離婚後も継続的にこどもと交流できるならそんなによいことはない、とした上で、高葛藤のケースへの対応について、意見を述べられました。
 100日面会交流事件の控訴審判決が新聞のみならずワイドショーでもとりあげられるほど話題となり、また、いわゆる親子断絶防止法案が人々の口の端にのぼることもある昨今、お二人の話には、色々と考えさせられました。
 また、午後の部では、インドネシア、マレーシア、および、シンガポールから招かれた専門家であるDr. Euis Nurlaelawati (Senior Lecturer, State Islamic University) 、Dr. Mogana Sunthari Subramaniam (former invited associate Professor, Malaya University) 、Dr. Wing Cheong Chan (Associate Professor, National University of Singapore)が、自国の離婚後の親子関係等について、発表してくださいました。3か国はいずれも、多民族国家であり、家族法についていわゆる人的不統一法国であるところ、3人とも、簡潔かつわかりやすく説明してくださり、大変勉強になりました。
 とはいえ、やはり、「子の最善の利益」は、本当に難しいです。
 

Today, I attended the International Conference on the Best interest of the Child Policy regarding on Parenting after Divorce.  Professor Tomiyuki Okawa of Fukuoka University, who submitted a written opinion to the Tokyo High Court, an appeal court of the Matsudo branch of the Chiba District Court whose decision dated March 29, 2016 was famous for the friendly parent rules, explained an outline of his written opinion and the decision.