1. (1) 日付が変わってしまったので、昨日になりますが、アメリカ大使館のアメリカ市民サービス課が主催するハーグ条約に係る意見交換会(Hague Convention Discussion)にいってきました。
(2) ハーグ条約が発効してほぼ2年が経ち、日本の実務もそこそこ集積してきています。
本会合では、アメリカのみならず、カナダ、イギリス、オーストラリア等の関係者や、日本の外務省の方も参加されていました。
ハーグ事案の判決文は公表されていないので、特に、日本の弁護士の経験談は参考になりました。
⇒ <後記>
「ハーグ条約の基礎」を事務所通信第7号に載せました。
http://www.hisaya-ave.com/tsushin7-7.html
PDF版はこちら。
http://www.hisaya-ave.com/jimushotsushin7/jimushotsushin7.pdf
本会合では、アメリカのみならず、カナダ、イギリス、オーストラリア等の関係者や、日本の外務省の方も参加されていました。
ハーグ事案の判決文は公表されていないので、特に、日本の弁護士の経験談は参考になりました。
⇒ <後記>
「ハーグ条約の基礎」を事務所通信第7号に載せました。
http://www.hisaya-ave.com/tsushin7-7.html
PDF版はこちら。
http://www.hisaya-ave.com/jimushotsushin7/jimushotsushin7.pdf
2. (1) 1カ月近く前になってしまいましたが、今年3月11日には、愛知県弁護士会紛争解決センター運営委員会が企画した「国際的な子の奪取に関するハーグ条約研修会」が催され、私は、昨年9月に参加した「ハーグ条約に関する日豪合同あっせん人研修」について、報告しました。
私の報告のみならず、研修で話題に上がったのが、日本における離婚後の単独親権制度。民法819条1項は、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」と定め、また、同条2項は、「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。」等と定めています。
これに対し、諸外国で比較的多くみられる法制がいわゆる共同親権制度。
例えば、オーストラリア連邦家族法(The Family Law Act 1975)では、「parental responsibility」についての規定があり、18歳未満の子供の父母は、各々、子供に関するparental responsibilityを有する、そして、これは、子供の父母の関係性のいかなる変化にもかかわらない等(第 61条C)と規定されています。つまり、オーストラリアでは、離婚後でも(あるいは、事実婚でも)、共同親権が原則であるといえます。
日本では、離婚に際し約80%の母親が親権を取得している現状があり、離婚後、親権を有しない父親と子との面会交流が円滑に行われるとは限りません。仮に、父親が面会交流を求め、(調停もうまくいかず)これを認める審判を取得したとしても、母親がこれに従わない場合、面会交流の実現は困難な道のりとなるでしょう。
そもそも、親権・監護権の争いや子の引渡請求において、裁判所の判断に影響するとされる「乳幼児母性優先の原則」や「監護の継続性の原則」(*)は、共同親権に慣れ親しんだ外国人の父親から見ると、脅威そのものなのかもしれません(国際的な子の奪取に関するハーグ条約があるとはいえ…)。
*ただし、監護者の監護の開始が無断連出しなど違法性を帯びる場合でないことを重視する裁判例も相当数あります。
私の報告のみならず、研修で話題に上がったのが、日本における離婚後の単独親権制度。民法819条1項は、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」と定め、また、同条2項は、「裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。」等と定めています。
これに対し、諸外国で比較的多くみられる法制がいわゆる共同親権制度。
例えば、オーストラリア連邦家族法(The Family Law Act 1975)では、「parental responsibility」についての規定があり、18歳未満の子供の父母は、各々、子供に関するparental responsibilityを有する、そして、これは、子供の父母の関係性のいかなる変化にもかかわらない等(第 61条C)と規定されています。つまり、オーストラリアでは、離婚後でも(あるいは、事実婚でも)、共同親権が原則であるといえます。
日本では、離婚に際し約80%の母親が親権を取得している現状があり、離婚後、親権を有しない父親と子との面会交流が円滑に行われるとは限りません。仮に、父親が面会交流を求め、(調停もうまくいかず)これを認める審判を取得したとしても、母親がこれに従わない場合、面会交流の実現は困難な道のりとなるでしょう。
そもそも、親権・監護権の争いや子の引渡請求において、裁判所の判断に影響するとされる「乳幼児母性優先の原則」や「監護の継続性の原則」(*)は、共同親権に慣れ親しんだ外国人の父親から見ると、脅威そのものなのかもしれません(国際的な子の奪取に関するハーグ条約があるとはいえ…)。
*ただし、監護者の監護の開始が無断連出しなど違法性を帯びる場合でないことを重視する裁判例も相当数あります。
(2) そんな中、つい先日(3月29日)、千葉家裁松戸支部で、5年以上別居している夫婦が、離婚と長女(8歳)の親権を争った訴訟で、離婚を認めた上で、夫に長女の親権を認め、妻に同居の長女を引き渡すよう命じる判決を言い渡したとの報道がありました。
妻は、夫婦関係がうまくいかなくなった後、夫に無断で長女を連れて実家に戻り、夫からの面会希望を拒絶し、夫は子に会えない状況が続いていたといいます。
夫は、年間100日程度の面会交流を提案し、判決も、夫に対し、妻と長女の面会交流の機会を十分確保すべく詳細な条件を定めているようですが、この判決、今までの判例・裁判例の流れを大きくかえるものになるのか、それとも…。
今後が注目されます。
妻は、夫婦関係がうまくいかなくなった後、夫に無断で長女を連れて実家に戻り、夫からの面会希望を拒絶し、夫は子に会えない状況が続いていたといいます。
夫は、年間100日程度の面会交流を提案し、判決も、夫に対し、妻と長女の面会交流の機会を十分確保すべく詳細な条件を定めているようですが、この判決、今までの判例・裁判例の流れを大きくかえるものになるのか、それとも…。
今後が注目されます。
⇒ <後記>
平成29年1月26日、控訴審判決がでました。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/01/29126.html
関連のブログ。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/02/tokyo-district-courts-decision.html