2015年2月6日金曜日

著作権法の改正(旧著作権法による保護、電子書籍に対応した出版権の整備等)


1.  今日、お昼に久屋大通りを歩いていたら、スミレ(?)が咲いていました。
まだまだ寒い日が続きますが、春の訪れも近いということでしょうか…。

 
久屋大通り公園に咲いていたスミレ(?)
 
まったくもって見にくいですが、手前にスミレ(?)が…


2.  先日、樹齢400年を超えるものもある盆梅をみて…ということで、盆栽の著作権について思うことを気ままに云々と書きましたが、著作権の保護期間についての記載が抜けていたなあと思いました。

(先日のブログ↓)

 現行著作権法は、昭和45年にそれまでの著作権法(明治32年法律第39号。明治32年7月15日施行。以下、「旧法」といいます。)を大改正して制定されました(昭和45年法律第48号。昭和46年1月1日施行。以下、「現行法」といいます。)。現行法附則2条1項は、「改正後の著作権法(…)中著作権に関する規定は、この法律の施行の際現に改正前の著作権法(…)による著作権の全部が消滅している著作物については、適用しない。」としています。なお、現行法の著作権の保護期間は、創作のときにはじまり、原則として、著作者の死後50年となっています(現行法51条)。
 旧法は、「文書演述図画建築彫刻模型写真演奏歌唱其の他文芸学術もしくは美術(音楽を含む以下之に同じ)の範囲に属する著作物の著作者はその著作物を複製するの権利を専有す」(旧法1条)と規定しています。また、「本法施行前に著作権の消滅せざる著作物は本法施行の日より本法の保護を享有す。」(旧法47条)とし、保護期間については、「発行又は興行したる著作物の著作権は著作者の生存間及び其の死後三十年間継続す」(旧著作権法3条1項)等と規定されていました。
 樹齢400年を超える盆栽が旧法上の「著作物」にあたるとしても、旧法施行時(明治32年7月15日)に著作権が消滅していると、そもそも、旧法の保護対象とはなりませんし、現行法施行時(昭和46年1月1日)に著作権がすべて消滅していると、現行法は適用されないものと思量されます。
 

3. ところで、現行法の制定は、前述の通り、昭和45年であり、昨今の急激なデジタル化、ネットワーク化という時代の変化を受けて、近時、改正が相次いでいます。
 直近の改正は、昨年(平成26年)の電子書籍に対応した出版権の整備等を内容とするもので、今年(平成27年)1月1日に施行されました。

(平成26年改正に係る文化庁のホームページ↓)

 本の出版・販売というのは、「原作」等の「伝達」を行っているといえますが、現行法上、出版者には、著作者の権利も著作隣接権も与えられていません(文化庁長官官房著作権課「著作権テキスト」参照)。
 著作権者は、著作物について、「出版権」を「設定」できるとしているのみです(現行法79条)。
 今回の改正では、この「出版権」について、電子書籍に対応した整備がなされたということです(その他に、今回の改正では、視聴覚的実演条約実施に伴う規定の整備が行われています)。
 具体的には、出版権の内容として、紙媒体による出版のみならず、CD-ROM等記録媒体による出版や、インターネット送信による電子出版を行う権利が加えられました。これにより、インターネット送信による電子出版を行う権利を出版権の内容として設定していれば、出版者自らインターネット上の海賊版に係る差止請求をできるようになりました。
 詳細については、上記文化庁のホームページをご覧いただければと思います。