2014年12月22日月曜日

上海市静安区弁護士協会所属の弁護士との共同セミナー


1. 昨日は、上海市静安区弁護士協会所属の弁護士約20名の名古屋訪問を受けて、共同で、セミナーを開催しました。
 日曜日の開催となりましたが、愛知県弁護士会からも、約20名の弁護士が参加しました。 
 


 
2. 上海側の発表は、劉維弁護士(國浩律師事務所)による「商業賄賂と独占禁止法について」でした。
 「商業賄賂」は、中国でビジネスをするものにとって、中国特有のリスクとして認識されています。日本刑法の「賄賂」が公務員の職務に関する不正な報酬であるのと異なり、民間同士で問題となり得るのです。
 「商業賄賂」の定義については、「中華人民共和国の不正競争防止法」(1993年)で商業賄賂の禁止条項が設けられていますが、明確な定義規定はなく、「商業賄賂行為の禁止に関する暫定規定」(1996年)第二条第2項においては、「事業者が商品を販売又は購入するために、財物又はその他手段により相手側企業又は個人に賄賂を行う行為を指す」と規定されているようです。
 劉弁護士の発表によれば、「商業賄賂」の法的責任には、民事責任、行政責任、刑事責任があるとのこと、愛知県側から、実務的に、幾らくらいから刑事・行政の取締の対象となるのか質問したところ、上海側で喧々諤々の議論となっていました。習近平体制発足後、「商業賄賂」の取締りが強化されているといいますし、金額の多寡にかかわらず、要注意ということなのかもしれません。
 「独占禁止法」についても、今年(2014年)8月に、中国国家発展改革委員会が日本の自動車部品メーカー12社に対し独占禁止法違反で約200億円余の制裁金を課すとの報道がある等、中国における独占禁止法違反取締強化が伝えられている中、とてもホットな話題です。
 

3. 日本側の発表は、「日中間における国際的二重課税排除のための基本的枠組み」で、恥ずかしながら、私が担当しました。正直に言って、国際委員会の元委員長さんに発表を頼まれた際は億劫だったのですが、思い切ってやってみて、よかったです。
 とても広いテーマなので、基本的な話に終始しましたが、せっかく資料を作成したので、その一部については、今後、事務所通信等で、発信していきたいと思っています。

→ <後記>
        事務所通信第4号に載せました。
    http://www.hisaya-ave.com/tsushin4p1.html
 
4. セミナーの後には、懇親会がありました。
途中、参加した弁護士により、上海、日本、そして韓国の歌が披露されるなど、とても賑やかな会となりました。
 私も、昨年夏に、上海の法律事務所で短期研修を受けさせていたことがありますし、先日、愛知県弁護士会で中国から講師をお招きして「中国法セミナー」が開催されたことは、このブログでもとりあげました。
 これからも、日本(愛知県)と中国(上海)の弁護士が交流し、親睦を深めていければいいなあと思いました。
 
・上海短期研修の感想については、こちら(↓)
www.hisaya-ave.com/syanhai14.2.12.pdf

・中国法セミナーについては、こちら(↓)
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2014/11/blog-post_17.html