2017年11月11日土曜日

南米視察旅行 ~ブラジルとアルゼンチンのお土産編~


1. 昨日は、南米視察旅行(先月7日から15日まで、ブラジルのサンパウロリオデジャネイロとアルゼンチンのブエノスアイレスを訪問)のお食事編でしたが、本日は、お土産編です。視察旅行なので、お土産を買う時間・機会が極端に少ないのですが、その少ない機会を活かして購入したお土産をご紹介します。
 具体的な訪問先(ブラジルの裁判所、法律事務所、アルゼンチンの裁判所など)についてのご報告は、事務所通信第8をご覧いただればと思います。
http://www.hisaya-ave.com/tsushin8-1.html
こちらは、PDF版(↓)。
http://www.hisaya-ave.com/jimushotsushin8/tsushin8.pdf

また、前回ブラジル・サンパウロを訪問した際のお土産についてはこちら(↓)
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2014/12/blog-post_17.html

2.ブラジル

(1) ビーチサンダル(ハワイアナスhavaianas
 ブラジル製のビーチサンダルとして、有名とききました。
 サンパウロ日本領事館の入っているビルの12階にあるTop Center Shopping内の店舗で購入しました。

ハワイアナス(havaianas)のビーチサンダル。
女性ものの方が凝ったデザインだったかも…
 
(2) チョコレート(Cacau Show / Bendito Cacaohttp://www.cacaushow.com.br/
 同じくTop Center Shopping内の店舗で購入しました。
 お土産としてもっていったところ、私にも配られトリュフをいただのですが(笑)、カカオ感がしっかりとしていて、おいしかったです。

ブラジルのチョコレート
Cacau Show / Bendito Cacao)
 
(3) 石の置物
 リオデジャネイロ、日系人が経営するお土産屋さん(コルコバードの丘へのぼる登山電車の乗り場の近く)で買いました。

石の置物。
色合いが気に入りました。
他に、カエルも買っちゃいました。
 
(4) 地酒(カシャッサ Cachaça
 ブラジルの地酒。サトウキビの蒸留酒。ピンガ(Pinga)ともよばれます。
 サンパウロの空港で買いました。


ブラジルの地酒
カシャッサ
Cachaça(ピンガPinga
 
(5) ネックレス(Maria Oiticica
http://www.mariaoiticica.com/institucional/index/
 店員さんから、アマゾンの種や果実でつくっているとききました(モチーフ?)。値段は比較的お手頃です。
 リオデジャネイロの空港の店舗にて。
 時間がなくてゆっくりみられませんでしたが、リオデジャネイロの空港には、おしゃれなお店が結構ありました。

Maria Oiticicaのネックレス
(6) コーヒー、胡椒
 ブラジルといえば、コーヒー。重要な輸出品であり、国内では、輸出できないクラスのコーヒー豆も多いとのことですが、サントグラオン(Santo Grao)は、カフェも経営していて、有名なブランドだとききました。
 また、胡椒は、日系農家が栽培をはじめ大成功をおさめたときいたことがあります(「黒いダイヤ」とよばるほどもうかったらしいのですが、単一栽培のため大きな病虫害を受けたとも聞きます…)。

 リオデジャネイロやサンパウロのスーパーで買いました。
 ただ、胡椒は、ガイドさんによると、ブラジル産と書いていないようです(産地不明)。

サントグラオン(Santo Grao)のコーヒー。
左上のシールが産地などです
リオデジャネイロのスーパーで購入した
ブラックペッパー(産地不明)。
 
3.アルゼンチン

(1) 革製品(CASA LOPEZ
http://casalopezcuero.com/en/ 
 アルゼンチンは、革製品が有名ですよね。レティ―ロ地区にあるカーサ・ロペス(CASA LOPEZ)。
 ガイドさんに紀子さまも買われた店と聞いて、小銭入れとベルトを買いました。

カーサ・ロペス(CASA LOPEZ)の
小銭入れとベルト
 
(2) Baby Alpacaのショール(FRANKEL'S
 レティ―ロ地区、CASA LOPEZの近くのフランケルズ(FRANKEL'S)にて購入。
 ベビーアルパカ(Baby Alpaca)は、アンデス高原に生息するアルパカのうち、生後3か月以内のアルパカから採られた柔らかい毛で編まれたもの。縁の飾り部分は、手編みだといっていました。アルゼンチンのガイドさんは、ベビーアルパカは、ペルーの方が有名ですが、アルゼンチンの方が、少々高くても、おしゃれなものがあるといっていました。
 フランケルズには、他にも、マテ容器とボンビーリャとか、革製品とか、インカのバラのアクセサリーとか、少し高級で、素敵なものが、色々ありました。もっと、ゆっくりみたかった…。バラマキ土産ではなく、親しい人に買うお土産にいいと思います。


フランケルズ(FRANKEL'S)で購入した
ベビーアルパカ(Baby Alpaca)のショール
 
(3)ネクタイCARDON
 http://www.cardon.com.ar/
 モンセラート(Monserrat)地区のお店にいきました。サボテンマークのアルゼンチンのブランド、カルドン(CARDON。私が行った店は、割とカジュアル路線の紳士ものが多かったように思います。お財布、アクセサリー、ブランドの香水など、色々なアイテムも売っていました。

サボテンマークのアルゼンチンのブランド
カルドンCARDON)のネクタイ
 
(4) インカローズ(インカの薔薇)のネックレス
 インカローズは、日本名だと、「菱マンガン鉱」っていうみたいですね。日本名だと情緒ないですが、「インカローズ」という名前にひかれて、奮発して買ってしまいました。

インカローズのネックレス
 
(5)チョコレート(HAVANNA、アバナ)
 ホルヘニューベリー空港で、アルゼンチンで有名なブランドと聞いて、アバナ(HAVANNA)のチョコレートを買いました。
 本当は、練乳(ドゥルセ・デ・レチェ)入りクッキー(アルファフォーレス)をすすめられたのですが、少々、苦手だったので、砕いたアーモンドが30%入っている板チョコにしました。こちらも、ゼミに持っていって、配りつつ、私もいただきました(笑)。普通においしかったです。

 


アバナ(HAVANNA)
アーモンド入りチョコレート
 
(6)ワイン
 アルゼンチンといえば、ワインが有名。ブエノスアイレス市内の「Winery」というお店(昨日のブログで紹介したタンゲリアLa Ventanaの近く)に行ったのですが、レジ待ちで時間切れし、購入できず…。その際、「やっぱり、マルベック(Malbec)」と薦められたので、同じものではないですが、ホルヘニューベリー空港で買いました。ちなみに、この空港、あまり、お店は多くなかったです。

アルゼンチンの赤ワイン。
品種はいずれも
マルベック(Malbec)。
 
4.番外編
旅行中に訪れた本屋さんをご紹介。
 サンパウロで一番おおきな本屋さんという「Livraria Culturaと、世界で二番目に美しいとされるブエノスアイレスの本屋さん「El Ateneo」です。
 「El Ateneo」は、もともと、オペラハウスだったのを改装して本屋さんにしたとのこと。確かに美しい本屋さんでした。

サンパウロの本屋さん
Livraria Cultura
ブエノスアイレスの本屋さん
El Ateneo

 

2017年11月10日金曜日

南米視察旅行 ~お食事を中心に~


1. 先月7日から15日まで、愛知県弁護士会国際委員会の南米視察旅行(ブラジルのサンパウロリオデジャネイロとアルゼンチンのブエノスアイレスを訪問)に参加してまいりました。
 具体的な訪問先は以下のとおりで、ブラジルの裁判所、法律事務所、アルゼンチンの裁判所などについてのご報告を、事務所通信第8にまとめました。
ご覧いただけると嬉しいです(↓)

http://www.hisaya-ave.com/tsushin8-1.html
こちらは、PDF版(↓)。
http://www.hisaya-ave.com/jimushotsushin8/tsushin8.pdf

 <ブラジル サンパウロ>(訪問順)

・国外就労者情報援護センター(Centro de Informação e Apoio ao Trabalhador no Exterior , CIATE

・日本移民資料館(Museu Histórico da Imigração Japonesa no Brasil

・二宮正人法律事務所(Advocacia Masato Ninomiya

・サンパウロ州労働裁判所(Tribunal Regional do Trabalho - São Paulo

・サンパウロ州第一審裁判所(Tribunal de Justiça do Estado de São Paulo

・ピエトロ・ネト法律事務所(Pinheiro Neto Adbogados

 <アルゼンチン ブエノスアイレス>(訪問順)

・在アルゼンチン日本国大使館(Embajada del Japón en Argentina

・ジェトロ(日本貿易振興機構/Japan External Trade Organization
ブエノスアイレス事務所

・連邦首都(ブエノスアイレス)弁護士会(Colegio Público de Abogados de la Capital Federal

・国家最高司法裁判所(La Corte Suprema de Justicia de la Nación

2. 本日のブログでは、食事まわりについて、書いてみたいと思います。
 なお、ブラジルのサンパウロにつきましては、平成26年(2014年)824日から31日まで愛知県弁護士会国際委員会のブラジル・サンパウロ視察旅行で訪問したことがあります。
 その際のブログは、こちら(↓)
 http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2014/09/blog-post.html

 その際のブログその2(ブラジルの食事など)(↓)
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2014/09/blog-post_19.html

 その際のブログその3(ブラジルのお土産)(↓)
 http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2014/12/blog-post_17.html

 その際の事務所通信については、こちら(↓)
 http://www.hisaya-ave.com/tsushin3p2.html

3.ブラジル サンパウロ

(1)日曜市場、露店
 長いフライトを終えて、ブラジル、サンパウロのグアルーリョス国際空港に、日曜日の朝、到着しました。
 到着後、パウリスタ通り(Avenida Paulista)近くのホテルにアーリーチェックインし、すぐにホテルを出て、日曜日に開かれている市場をぶらり歩きしました。
 市場を歩いてみると、意外に、野菜が豊富です。ブラジル社会に野菜を広めたのは、日系人農家だと聞きました。量り売りの大衆食堂やバイキングスタイルのレストランでも、新鮮な生野菜が豊富にあります。
サンパウロの日曜市の野菜

 香辛料やトロピカルな果物も、沢山、あります。特に、バナナの種類は色々あり、房で買って、分けて食べたところ、熟してから収穫しているからなのか、甘くてとてもおいしかったです。
サンパウロの日曜市のスパイスやハーブ

サンパウロの日曜市のいろいろなバナナ
 
 魚、肉、卵も売っています。
 ちなみに、卵農家も日系が多いと聞きました。ホテルでの朝食ビュッフェでは、生卵も置いてありました。
日曜市の魚

 「Pastel」(パステウ)は、牛肉、チーズなどを春巻きの皮のようなもので包んで揚げたもの。肉系とリンゴをいただきましたが、どちらも、おいしかったです。
肉系(何の肉だったかな(笑))の
Pastel」(パステウ)

リンゴの「Pastel」(パステウ)
(2) Fogo De Chao(シュハスカリア)
https://fogodechao.com/
 ブラジル料理といえば、シュハスコ(ブラジル風バーベキュー)。その専門店をシュハスカリアといいます。
 そして、シュハスケイロとよばれる男性が、串に刺さった色々な部位のお肉の塊をもってテーブルをまわり、ナイフで殺ぎ切って、お皿にいれてくれます。お肉は、基本的に牛肉ですが、鶏の心臓などもあります。
 テーブルの上には、片面が緑、もう片面が赤い、コースターのようなものがおいてあります。緑が「どんどん持ってきてください」、赤が「ストップ」を意味します。
シュハスカリアにて。
丸いコースターのようなものが
赤→ストップ
裏の緑→OK

 お肉以外のサラダ、フェイジョアーダなどは、バイキング形式(サラダ・バー)になっています。
 おすすめのデザートがおいしかったです。


シュハスカリアのデザート
(3) Restaurante Halin(アラブ料理)
https://halim.com.br/
 前回のサンパウロ視察旅行のときも、別のアラブ料理のお店にいきました。
トルコ料理に近く、日本人の口にあうと思います。


さっぱりしていておいしいです。

 
トルコ料理に似てますね。
ブドウの葉で包んであります。

油がおちていて
食べやすかったです。


 

4.ブラジル リオデジャネイロ

(1) Nomangue(シーフードレストラン)
https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g303506-d3707587-Reviews-Nomangue-Rio_de_Janeiro_State_of_Rio_de_Janeiro.html
 リオデジャネイロは、サンパウロよりも、数段、暑く、ビールが最高。  
 生のお魚は流石にでてきませんが、オードブルやシーフードカレー?がおいしかったです。
冷えたビール
オードブルの盛り合わせ
おいしかったです。
左がシーフードカレー
右が白身魚のムニエル?


(2) Galeto Sat's – Botafogo(鳥料理)
https://www.chefsclub.com.br/restaurantes/rio-de-janeiro/galeto-sat-s-botafogo-3961
 前菜のガーリックパンがいけます。
 ご飯と一緒にファロファ(Farofa。キャッサバの粉。)がでてきます。かきまぜちゃって、食べます。
 小振りの鶏丸ごと。おいしかったです。

ガーリックパン
ご飯とファロファFarofa)
スプーンを突き刺してでてきました。

 デザートは、ブラジルでお誕生日に食べられるというブリガデイロ(Brigadeiro)を選択しました。コンデンスミルクとチョコレートを混ぜてあるとのことで、大変、大変、甘いお菓子です。
ブリガデイロBrigadeiro
おいしそうでしょう!
でも、手ごわいですよ(笑)
5.アルゼンチン

(1) El Mirasol del Puerto(ステーキハウス)
http://www.elmirasol.com.ar/es/local/recova-0
 このレストランの付近、プエルトマデロ地区は、ラプラタ川に面した港が船の大型化などにより機能しなくなり荒廃していましたが、再開発により、一転、高級レストランやヨットハーバーが立ち並ぶ地域になったところです。
 アルゼンチンの日系弁護士の先生方との会食で利用しました。
 オードブルは、定番のエンパナーダ(EMPANADA)。  
 メインは、色々なステーキ。日本人には、量が厳しい気もしますが、味は、最近流行りの赤身肉で、肉の味がストレートにおいしいです。
手前がエンパナーダ(EMPANADA)
お肉がたくさん!
お店(El Mirasol del Puerto)からみえる運河
(2) La Ventana(タンゲリアtangueríaタンゴレストラン)
 http://www.laventanaweb.com/
 お料理は、前菜、メイン、デザートとも、メニューから選ぶ方式です。 私は、メインに’baby beef steak’を選んだところ、子牛でも、量はハンパなかったです!
 ワインはマルベック。
 お料理を食べた後は、タンゴショー。素晴らしいアルゼンチンの夜でした。
マルベックの赤ワイン
 
オードブル
普通に、トマトとモッツアレラのカップレーゼ
 
子牛のステーキ
ボリューム満点
味もいけます
 


洋ナシのコンポート
(マルベックで煮たもの)


La Ventanaの店内の雰囲気
右のカーテンの奥が舞台
食後にタンゴショーがみられます。

2017年10月26日木曜日

デンソー逆転勝訴判決(最高裁平成29年10月24日判決)がでました!


1. デンソーのシンガポール子会社へのタックスヘイブン対策税制適用の可否が争点となったデンソー事案につきましては、このブログで何度がとりあげています。
 
2. この事案は、平成22年、刈谷税務署長が、デンソーに対し、租税特別措置法66条の6(いわゆる「タックスヘイブン対策税制)に基づき、デンソーのシンガポール子会社Aの課税対象留保金額に相当する金額はデンソーの平成2020083月期及び2120093月期の益金に算入されるとしておこなった法人税の更正処分等(以下、「本件各処分」といいます。)に対し、デンソーがその取り消しを求めたものです。
 名古屋地裁平成2694日判決は、デンソーの主張を認め、本件各処分を一部取り消しました。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2014/09/blog-post_9.html
 これに対し、名古屋高裁平成
28210日判決(藤山雅行裁判長)は、原審の国敗訴部分を取り消し、デンソーが逆転敗訴していました。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2016/02/28210.html
 また、平成222010)年3月期および平成232011)年3月期について、名古屋地裁平成29126日判決が、デンソーの主張を認め、課税処分を取り消しました(デンソー勝訴)。
https://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/02/tokyo-district-courts-decision.html

 そして、一昨日、今度は、上告審である最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)が、デンソーに対する本件各処分等を一部取り消した第一審判決を支持する内容の判決、すなわち、再び、デンソーを逆転勝訴させる判決をだしたのです(最高裁第三小法廷平成
291024日判決)。
 この結末は、先日、上告審で弁論期日が開かれていたことから、ある程度は、予想できたといえます。
http://hisaya-avenue.blogspot.jp/2017/07/the-supreme-court-decided-to-hear.html

3. 我が国では、昭和53年からタックスヘイブン対策税制が導入されています。
 この税制は簡単にいうと、内国法人等の「外国関係会社」(日本資本全体で計50%超を直接・間接に保有する外国法人)のうち、一定の要件※を充たす特定外国子会社等」の所得に相当する金額について、内国法人等の所得みなし、それを合算して課税会社単位での合算課税)するという制度です。
 なので、外国子会社合算税制(または「CFC(Controlled Foreign Company) 税制」)とも、いわれますね。
 デンソー事件最高裁判決は、同税制について、タックスヘイブンに子会社を設立して当該子会社に所得を留保することにより、「我が国における租税負担を回避する事例が生ずるようになったことから、このような事例に対処して税負担の実質公平を図ることを目的として」いる旨、述べています。
 このように、同税制は、租税回避の防止・税負担の実質的公平が目的であるとされるので、「特定外国子会社等」が、真正の事業活動を行っている場合を想定して設けられた適用除外基準いわゆる事業基準、実体基準、管理支配基準、非関連者基準又は所在地国基準を充たしていれば、合算課税されることはありません
 この点、デンソー事件最高裁判決は、「特定外国子会社等であっても、独立企業としての実態を備え、その所在する国または地域において事業活動を行うことにつき十分な経済合理性がある場合にまで同税制を適用すると、我が国の民間企業の海外における正常かつ合理的な経済活動を阻害する恐れがある」としています。
 また、適用除外要件のうち、租税特別措置法66条の64項が株式の保有主たる事業とする特定外国子会社等について事業基準を満たさないこととした趣旨については、「株式の保有に係る事業はその性質上我が国においても十分に行い得るものであり、タックス・ヘイブンに所在して行うことについて税負担の軽減以外に積極的な経済合理性を見出し難いことにある。」としています。


  適用対象となるか否かを判定するための基準税率を「トリガー税率」といっていました。
平成29年度税制改正では、「トリガー税率」は廃止され、制度適用免除基準としての「税率基準(租税負担割合)」となるようです。

4.(1) ところで、デンソーは、35の国と地域で事業を展開し、全世界に200以上のグループ会社を有する自動車関連部品の製造販売等を目的とする株式会社であり、問題となったシンガポール子会社Aは、豪亜地域における各拠点間の事業活動の調整およびサポートを行う目的で、シンガポールに地域統括センターとして設立されました
 Aは、ASEAN台湾域内のグループ会社の持株会社の側面もありましたが、持株に関する業務(株主総会、配当処理等)のみならず、豪亜地域の地域統括会社として、地域企画、調達、財務、材料技術、人事、情報システム及び物流改善に係る地域統括に関する業務(「地域統括業務」)を行っていました。
 Aは、シンガポールの現地事務所を賃借し、事務用什器備品、車両等の有形固定資産を保有し、これらはすべて持株に関する業務以外、大半は地域統括業務に供されていました。
 現地勤務の従業員は三十数人いましたが、20人以上は地域統括業務に従事し、持株に関する業務のみに従事しているものはいませんでした。
 他方、Aの収入金額のうち、地域統括業務の中の物流改善業務に関する売上額は、収入金額の約85%を占めておりましたが、所得金額(税引前当期利益)となりますと、保有株式の受取配当の占める割合が約9割となっていました。
(2)このような事案のもと、名古屋高裁(控訴審)は、次のように、地域統括業務は、株式保有業に含まれる業務にすぎないとし、また、実質的にもAの主たる事業は株式の保有であるとして、Aは事業基準を満たさず、本件各処分は適法であると判示しました。
 「持株会社とは、…『株式(社員の持分を含む。以下同じ。)を所有することにより、国内の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社』をいうのであるから、単に株式を保有して配当を受けるにとどまらず、株式所有に基づく資本参加によって会社機関の意思形成に決定的な影響力を与えることをもって、本来自由であるべき他会社の事業活動をその主要な事項に関し自己の意思に従って統一的に指揮することを通して当該株式発行会社を支配するものを含むのであって、このような持株会社は、本件で問題となっている地域統括機能を含む被支配会社に対する管理機能を中心的な業務とするものである。したがって、地域統括業務等の被支配会社を管理する業務は、株式保有業に含まれる業務にすぎず、株式保有業から独立した事業とはいえない。」
(3)これに対し、最高裁は、まず、次のように、Aの行っていた地域統括業務は、株式の保有に係る事業に含まれないと判示しました。

 「他の会社の株式を保有する特定外国子会社等が、当該会社を統括し管理するための活動として事業方針の策定や業務執行の管理、調整等に係る業務を行う場合、このような業務は、通常、当該会社の業務の合理化、効率化等を通じてその収益性の向上を図ることを直接の目的として、その内容も上記のとおり幅広い範囲に及び、これによって当該会社を含む一定の範囲に属する会社を統括していくものであるから、その結果として当該会社の配当額の増加や資産価値の上昇に資することがあるとしても、株主権の行使や株式の運用に関連する業務等とは異なる独自の目的、内容、機能等を有するものというべきであって、上記の業務が株式の保有に係る事業に包含されその一部を構成すると解するのは相当ではない。」
 また、租税特別措置法66条の6第3項及び4項の「主たる事業」の判定について、「特定外国子会社等の当該事業年度における事業活動の具体的かつ客観的な内容から判定することが相当であり、特定外国会社等が複数の事業を営んでいるときは、当該特定外国子会社等におけるそれぞれの事業活動によって得られた収入金額又は所得金額事業活動に要する使用人の数、事務所、店舗、工場その他の固定施設の状況等を総合的勘案して判定するのが相当である。」としました。
 そして、Aの主たる事業は、地域統括業務であったと認定し、Aは事業基準を満たし、また、その他の適用除外要件もすべて満たすので、これを満たさないとしてなされた本件各処分は違法であると判示したのです。


5.雑感
 最高裁判決でも触れられていますが、タックスヘイブン対策税制については、平成22年度税制改正により、企業実態を伴っていると認められる統括会社(事業持株会社、物流統括会社)の所得については合算対象となるように、適用除外要件等について、見直しがありました。この見直しの趣旨については、最近のグローバル経営を実施する我が国企業は、世界の地域ごと海外拠点を統括する統括会社をおき、その活用により、グループ企業の商流の一本化間接部門の合理化等を通じて、収益向上をはかっているという現状があることから、このような統括会社は租税回避目的で設立されたものとして捉えるのではなく、その地において事業活動を行うことに十分な経済合理性があると評価することが適当であるとされています(「平成22年度税制改正の解説」)。
 穿った見方をすると、デンソーに対する更正処分等は、この改正前に…とみえなくもありません。
 この点、そもそも、同税制は、前述のとおり、租税回避の防止・税負担の実質的公平が目的であるとされるところ、この改正は、租税回避に利用し得る抜け道があったため税負担の実質的公平の観点からこれを塞ぐべくおこなわれた…というものではありません。
 生き馬の目を抜くような厳しい国際社会にあって、海外企業との価格競争に鎬を削っている日本企業の間に、ヨーロッパ、米、欧亜といった地域ごとに、グループ企業を統括する会社を設立する動きがあるのに配慮し、適用除外要件を緩めようとしてなされた改正です。
 
東京高裁は、課税庁の判断を支持していますので、本事案は、難しい法適用上の論点を含んでいるとはいえますし、改正法が遡及適用されることはないのですが、やはり、同制度および適用除外要件がもうけられた趣旨にそって、本事案の認定事実を評価すると、最高裁の結論に至るべきではないかと思えてなりません。