2026年4月5日日曜日

ギリシャ旅行について

 

1. 今年(イラン攻撃の前)、プライベートでギリシャ共和国(Hellenic Republic)を旅行する機会がありましたので、備忘をかねて、少しだけ、ご紹介します。

2.ギリシャの基礎情報

まず、国名についてですが(笑。メテオラのツアーガイドさんが話されていて興味深かったので…。)、「Hellenic」はギリシャ人が自国をよぶ「ヘラス(Hellas)」(もとはギリシャの一地方?)に由来するみたいです。歴史で習う「ヘレニズム」時代(アレクサンダー大王の東方遠征からプトレマイオス朝エジプトが滅亡するまでの時代)はこちらの系統ですね。他方、英語のGreeceはラテン語の「Graecia(グラエキア)」(もとはギリシャの部族のひとつ?)に由来するみたいで、日本語の「ギリシャ」はポルトガル語由来らしいのでこちらの系統かと思います。なお、漢字表記の「希臘」は後者っぽくみえますが、前者に由来するみたいです。ややこしいですね。
 ギリシャがオスマン帝国との独立戦争を経て独立したのは1932年。当初は王国で、共和国となったのは1974年です。その前をざっくり振り返ると、紀元前7000年頃から先史時代、紀元前30001200年頃がエーゲ文明、紀元前7世紀くらいからが私たちが思い浮かべる古代ギリシャ=ポリス国家の時代、その後ローマ帝国の支配下となり、ローマ帝国が東西に分裂すると東ローマ帝国=ビザンツ帝国の支配下にはいりましたが、オスマン帝国が台頭し1453年にビザンツ帝国の首都であるコンスタンティノープルが陥落するなどして次第にオスマン帝国の支配が及んでいきました(約400年間)。特に、お料理については、オリーブオイルやヨーグルトをつかったり、ムサカ、ドルマダキア、タラモサラダなど、トルコ料理の影響が強いように思います。

現在、ギリシャはEU加盟国で通貨はユーロ。15年前の財政危機が思い出されますが、公的債務は減少傾向にあるといいます。観光業はGDP20%をしめるともいわれ、地中海性気候を利用したオレンジ、オリーブの生産など農業も盛んなようです。

3.アテネ市内(アクロポリス、アクロポリス博物館、古代アゴラ、国立考古学博物館)

   アテネ市内の観光スポットといえば、兎にも角にも、アクロポリス(Acropolis)。まず、アクロポリスの南麓にあるアクロポリス博物館にて、アテナ古神殿のペディメントやエレクティオン神殿のカリアティードを鑑賞。3階では、パルテノン神殿が女神アテナのために建てられ、破風彫刻群(18世紀初頭にオスマン帝国に駐在していた英国大使エルギンによって持ち出され大英博物館に収蔵・展示されているエルギン・マーブル)を含め元はどんな姿をしていて、どんな風に破壊されたかなどを映像で勉強。そして、いよいよアクロポリスにのぼりました。途中にヘロド・アッティコス音楽堂などをみながら結構な急坂をのぼっていくと、ブーレエの門に到達し、アテナ・ニケ神殿を横目に進むと、エンタシスが施されたパルテノン神殿の列柱が目に入ります。やっぱり、圧巻の一言。どうしても、ロールス・ロイスのフロントグリルを思い出しちゃいますね。アクロポリスの見学を終えたあと西麓におりて、ティシオ地区でムサカ、ドルマダキアなどのランチをとってから、古代アゴラに入り、ヘファイトスの神殿、アグリッパの音楽堂などをみてまわり、古代アゴラ博物館で古代アゴラから発掘された出土品などをゆっくりと拝見しました。

パルテノン神殿。


エレクティオン神殿


アクロポリス博物館。
2階にはエレクティオン神殿のカリアティードが展示されています。


古代アゴラのヘファイトスの神殿。

古代アゴラのアグリッパの音楽堂。奥にアクアポリスがみえます。

ティシオ地区のSenso Cafeでムサカやドルマダキアなどをいただきました。

翌日は、国立考古学博物館へ。ガイドブックを頼りに、ミケーネ遺跡の出土品である黄金のマスク(アガメムノン王のマスク)、アルカイック様式のクーロス像、アルテミオンのポセイドン像、ヘレニズム期の馬上の少年像などをゆっくりとみてまわりました。ボクシングをする少年はサントリーニ島のアクロティリ遺跡から発見されており、サントリーニ島を先に訪れていたので、一層興味深く拝見できました。

サントリーニ島アクロティリ遺跡で発見された壁画「ボクシングをする少年」

ミケーネ遺跡の円形墓地から出土した黄金のマスク。
これがでてきたら興奮しますね。

クーロス像

アルテミオン沖の海底でみつかった
ヘレニズム期のブロンズ像「馬上の少年像」

国立考古学博物館の外観

アテネ市内で滞在したホテルはプラカ地区にありました。最上階のレストランや部屋のヴェランダからはアクロポリスがみえますし、アクロポリスまで歩いていくこともできます。また、プラカ地区には、ギリシャ伝統の刺繍製品が素敵なMacrameや、創業1898年のタベルナであるPsarasなどがあり、また、シンタグマ広場も近くて、付近には、ギリシャワインが豊富なCellierや内装が素敵なカフェのTazzaなどもあり、とても便利でした。また、到着日にタクシードライバーのストライキがあったのですが、滞在したホテルがあらかじめ知らせてくれたおかげでコンシェルジュに出迎えサービスのアレンジを頼むことができました。個人旅行ではホテル選びも大切ですね。

ホテルの部屋のヴェランダからの眺め。
アクロポリスのパルテノン神殿の夕景。
三日月も見えます。

こちらはホテルのレストランからの眺め(朝食時)。

プラカ地区のタベルナ「Psaras」。

「Psaras」のタコのマリネ、タラモサラダなど。

「Macrame」で購入した刺繍のクッション
(ギリシャっぽくないかも?ですがMade in Greeceで、お気に入りです。)。

「Macrame」で購入したクッションとおそろいの刺繍のテーブルランナー。

内装が素敵なカフェ「Tazza」

「Tazza」のお料理。
右はキノコのスープ。
左はタラモ、ジャジキ、メリジャノなど。

Cellier」で薦められて購入したギリシャワイン。
左から
・「Akakies Sparkling Rosé 2024」キリ・ヤーニ(Kir-Yianni)社のクシノマヴロXinomavro)を使用したスパークリング・ロゼクシノマヴロはギリシャ北部マケドニア地方原産の赤ブドウ品種で、「酸っぱい(Xino)」と「黒い(Mavro)」に由来します。
1879 Boutari Legacy 2013」は、ブタリ(Boutari)社が生産するクシノマヴロ(Xinomavro)100%の赤ワインです。ワインの名前は、ブタリ社の創業年1879年に因み、その歴史に敬意を表して名付けられているそうです。
・「Daemon 2015はイエロプロス家(Ieropoulos Familyが生産するアギオルギティコ(Agiorgitiko)の赤ワイン。アギオルギティコは、ペロポネソス半島ネメア地方で主に栽培されており、「ヘラクレスの血」と呼ばれるほど深く濃い赤色が特徴とされます。

4.デルフィ遺跡とメテオラを巡るツアー

今回、デルフィ遺跡(Archaeological Site of Delphi)とメテオラ(Meteora)をまわる1泊2日の英語による現地ツアーに参加してみました。
 デルフィ遺跡は、アテネから北西へ178kmのギリシャ中部にあります。古代ギリシャ時代には、アポロンの神託が行われていた聖域であり、「大地のヘソ(世界の中心)」と信じられていました。ガイドさんの話では、当時の一帯では火山性ガスが噴出する場所があり、巫女さんは火山性ガスを吸ってトランス状態になって命がけでアポロンと交信していたといいます。


デルフィ遺跡。

デルフィ遺跡の近くのレストランでランチ。左はムサカ。右は野菜のトマト煮込み。

 デルフィ遺跡を観光したのち、メテオラの最寄りの街であるテッサリア地方のカランバカ(Kalambaka)までバスで移動し、そこで宿泊。翌朝、メテオラへ。テッサリア地方ピンドス山脈の麓に点在する岩の塔の上に修道院が建てられており、その写真をみたときから、いつかギリシャを訪れたらいってみたいと思っていました。現地で購入したガイドブック「アギア・メテオラ 天と地の間の石の聖地」によれば、「高い」「空中に浮かぶ」の語源を基に「メテオラ」と呼ばれるようになったそうで、11世紀には修行者が足を踏み入れ、時が下って、修道院と庵の数は合計41に達したそうですが、現在はそのうち6つの修道院が残っています。中に入れたのは、ルサヌ修道院 (Roussanou Monastery)と聖ステファノス修道院 (St. Stephan's Holy Monastery)。聖ステファノス修道院は1350年頃に建築されたヴァシリカ型の建築様式(古代ローマ時代に起源を持ち、初期キリスト教時代以降の教会建築で広く採用された建築様式)で、教会は、聖ハラランボスに捧げられたもので、アギオオリティコという建築様式、オスマン帝国時代には教会学校として活動していました。ルサヌ修道院は1527-1529年に創建され、1560年に建てられた聖堂はやはりアギオオリティコという建築様式だそうです。どちらも、現在、女子修道院となっています。なお、アギオオリティコという建築様式について調べてみたのですが、よくわかりませんでした。AIは、「アギオン・オロス(「聖なる山」の意)」はギリシャ語でアトス山を指しその形容詞形と推測できる、アトス山はギリシャ北東部に位置しここにある20の修道院は「アトス自治修道士共和国」として独自の自治が認められているギリシャ正教の聖地である、としています。


この絶景!
どうやって建てたのでしょうか?


ルサヌ修道院の売店で購入した赤ワイン「Holy Meteora」。
AIによると、メテオラ地方の土着品種であるリムニオナ(Limniona)を使用しているとのこと。

カランバカ(Kalambaka)のホテルの食堂。
朝食も夕食もビュッフェスタイルですがおいしいですし
お部屋は広くてよかったです。


カランバカのホテルでいただいたAvfi Dry White」は、キュプロス島のMichalakis Estateで生産される白ワイン。
ブドウ品種はキセニステリ(
Xynisteri)。ギリシャは300種もの土着品種があるといわれており、エキスパート試験のときは耳慣れない名前を覚えるのが大変でしたが、訪れると知らない品種があって楽しいです。


 帰路、テルモピュライにも寄りました。ヘロドトスの『歴史』には、ペルシア戦争において、紀元前480年、テルモピュライで、スパルタを中心とするギリシャ軍とアケメネス朝ペルシア軍が戦ったとの記載があるそうで、その記念碑がたっていました。


テルモピュライ


5.サントリーニ島

サントリーニ島(Santorini)は、エーゲ海のキクラデス諸島南部に位置する島。かつて大爆発を起こした火山が形成したカルデラ地形で、外輪山の一部と真ん中を残して水没しています。大爆発が起こる前、高度な文明が存したため、実は、サントリーニ島がアトランティス大陸だったという説もあるようです。
 サントリーニ島へは、国内線を利用して渡りました。宿は、カルデラ北側のイア(Oia)の洞窟を利用したホテル。1日目は、ブルードームと称される教会のあるイアの街を歩き、イア城(Oia Castle)で夕陽を楽しみました。2日目は、プライベートツアーを頼みました。まず、カルデラ南側まで移動し、紀元前1,500年頃の火山の大噴火で埋もれてしまったアクロティリ遺跡を見学。火山灰に覆われていたため、エーゲ海周辺でみつかった先史時代の遺跡の中でも保存状態がいいといいます。出土品は新先史期博物館にあるのですが、当時の様子を再現したビデオをみて、3000年以上前に、3階建ての壁画のある建物などに住み、文化的な生活をおくっていた様子に驚きました。アクロティリ遺跡を見学後、近くのレッドビーチにも寄りました。本当に赤い砂で、夏は賑やかだそうです。それからフィラの街へ行き、新先史期博物館でアクロティリ遺跡から出土した壁画や陶器などをみました。そして、ペリッサビーチ(Perissa Beach)にあるFratzeskos Fish Tavernでランチをいただいたのですが、このタベルナは漁師さんがやっていて、その日の朝にとれた魚介を料理してくれるので、抜群においしかったです。その後、道中、クルーラ(Kouloura)とよばれるサントリーニ島独特のブドウの仕立て法(強風を避けるなどのために、樹を低く、枝をらせん状に巻いて、かご型に整える方法。)をみてから、17世紀から続くワイナリーであるヴォルカン・ワインVolcan Winesが運営するワイン博物館を見学しました。ワイン博物館では、日本語の音声ガイドがあり、サントリーニ島のワインの歴史を人形などの展示で拝見できますし、見学後は、4種類のワインのテースティングができます。


サントリーニ島のイア(Oia)の街並み

イア城付近の夕陽。

暮れなずむイアの街並み。三日月がみえます。


イアのレストラン「Lotza」。


イアのレストラン「Lotza」は眺めが抜群。お薦めされたSaganakiなどをいただきました。
一緒に写っている白ワインは、サントリーニ島のエステート・アルギロス(ESTATE ARGYROS)の「アトランティス(Atlantis)」(品種はアシルティコ、アシリ、アイダニ)。


サントリーニ島のイアで泊まった洞窟ホテルのヴェランダからの眺め。
サントリーニ島のイアで泊まった洞窟ホテルは
ベッドルームが2つ、キッチン、リビングなどがあり、インテリアも素敵。
1日目の空港への出迎えと2日目のプライベートツアーは、ホテルに頼みました。

アクロティリ遺跡。

新先史期博物館。
説明に「
Linear A」と書いてあるので、調べてみたら、主にクレタ島で使われていた線文字Aが、アクロティリ遺跡からもみつかっているみたいです。

新先史期博物館。素敵な壁画ですね。


ペリッサビーチ(Perissa Beach)にある「Fratzeskos Fish Tavern」。

Fratzeskos Fish Tavern」のカニのサラダとスープ。

Fratzeskos Fish Tavern」の魚料理。
素朴だけど新鮮なので絶品。量が多くても完食しました。

クルーラ(Kouloura)。強風などを避けるなどのために、樹を低く、枝をらせん状に巻いて、かご型に整えるサントリーニ島独特のブドウの仕立て方法。


ヴォルカン・ワインVolcan Winesが運営するワイン博物館。


ワイン博物館でテースティングできたのは、白ワインのアシルティコ(Assyrtiko)、オレンジワインのアシルティコ、赤ワインのアンベローネ(Ambelone。品種はMandilariaMavrothiroMavrotragano)、デザートワインのカマリティス(Kamaritis


ヴォルカン・ワインKoutsoyannopoulos Winery)で購入したのKamaritis(カマリティス)とヴィンサント (Vinsanto)。どちらも、サントリーニ島で伝統的につくられているデザートワインです。ヴィンサントは、主にアシルティコを主体に、アイダニやアシリといった品種がブレンドされ、「Vinsanto」とラベルに表記できるのは、ギリシャのサントリーニ島で造られる天日干しワインのみです。イタリアにも同じ名前の天日干しワインがありますが、サントリーニ島の方が古いそうで、イタリアのものは、「Vin Santo」「Vin Santo」のように間にスペースを入れて表記されるそうです。

サントリーニ島の空港で買ったサント・ワインズ(SANTO WINES)」の白ワイン「ニクテリ(Nykteri)」。「ニクテリ」は、「夜を徹して働く」という意味で、夜間に収穫し日の出前に圧搾する伝統的な製法を意味します。アシルティコ(Assyrtiko75%以上、残りはアシリ(Athiri)とアイダニ(Aidani)。

6.今回、西欧文明の源流である古代ギリシャ文明はもちろん、それより古いエーゲ文明のうちのミノア文明の遺跡が残るサントリーニ島や、ギリシャ正教の修道院があるメテオラなど、いろいろな時代のものをみられて、とてもよかったです。また、ギリシャには個性豊かなワインがたくさんあって、それとあうギリシャ料理とともに堪能できました。残念ながら、ペロポネソス半島やクレタ島、ミコノス島、ロドス島などには足を延ばせなかったので、できれば再訪したいです。もっとも、今回の旅行後に経由地だったドバイ空港が攻撃されたとの報道にが…。中東地域で被害にあわれたすべての方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、早期の平和的な終結を望むばかりです。


最後におまけ。ギリシャ料理は大好きですが、歳のせいか日本食が恋しくなり…。ホテルの近くでみつけたのは、看板に「Japanese Sushi Yakisoba」「Korean Barbecue」、漢字で「韓国 日本 料理」と書いてあるお店。入店してメニューを拝見すると韓国料理寄りかなと…。お寿司と冷麺をいただきました。冷麺がおいしかった♪

韓国料理屋さんでいただいたブタリ(Boutari)の「Moschofilero 2024」。モスコフィレロ(Moschofilero)は、主にギリシャのペロポネソス地方、特にアルカディア州のマンティニアで栽培される土着の白ブドウ品種です。