2024年5月26日日曜日

バルト三国をレンタカーでまわる

1. 今年の4月からはじまった朝ドラ「虎に翼」は、日本で女性として初めて、戦前に弁護士、戦後に裁判官、裁判所長になった三淵嘉子をモデルとしているといいます。
 先週には、主人公寅子の妊娠が勤務先の法律事務所に伝わり、寅子が辞めざるを得なくなる場面がありました。私は雇用機会均等法導入後に大学を卒業して銀行に入行しましたが、その頃でも、まだまだ、子供ができたら当然家庭に入るだろうという無言の圧力はあったように思います。特に、雇用機会均等法が施行された直後の総合職の女性に対しては、「まさか、男性と一緒に働きたいといっているのに、働きながら、普通の女性と同じように結婚して子供を育てようなんて考えていないよね…」といった根強い偏見があったように思います。でも、他方で、結婚していなければ結婚していないで、子供がいなければ子供がいないで、半人前と、社会的な信用が得られない…。様々な偏見と闘いながら途を切り開こうとした先輩方の中には、朝ドラの主人公寅子のように、進んでも進んでも続く茨の途に、一旦は進むべき途をあきらめた女性がたくさんいたのではないでしょうか。少し前の寅子が法律事務所に勤務した後なかなか依頼者から仕事をもらえない場面をみていて、私の大変お世話になった大先輩の女性弁護士も同じような経験談を話されていたなあと、思い出されました。
 今回の朝ドラは、名古屋の市政資料館や鶴舞公園がロケ地としてでてきますし、いろいろなことを考えながら拝見しています。

 

2. 先日、バルト三国をレンタカーでまわる機会がありました。色々と驚くこともあったので、備忘として残しておきます。
 

(1)行く前のアドバイス
 ヨーロッパ(イギリス以外)でレンタカーを借りて旅行したことがあるという方にアドバイスを求めたところ、
①大きな付箋で「右側通行」と貼っておく
②カーナビはiPhoneをつかう
と教えていただきました。
 ①については同じように用意しましたが、なるほどと思い、事前に、右側通行のイメージトレーニングをしておくことにつながったので、とてもよかったです。
 また、②はとても役立ちました。もちろん、レンタカーにナビをつけてもらいましたが、英語ですし、咄嗟の判断には、やはり、日本語のナビがありがたいです。しかも、iPhoneのナビは、スピード違反の取締情報まで伝えてくれます。フリーウエイではスピードをだしていても街に入ると制限速度がかわるので急に減速する必要があり、iPhoneのナビがそれを教えてくれます。後述しますが、これが大変大きな意味を持っていたのです。

(2) レンタカーを借りる
 事前にExpediaでトヨタ車を予約していたのですが、レンタカー会社の事務所にいくとあてがわれたのはニッサン車でした。
 また、Expediaでレンタカーを予約した際に、保険をすすめられて契約していたのですが、「あなたの入った保険は、私の会社とは関係がないので、電話対応もできない。もし、この保険に入れば、24時間対応できる。」といわれ、悩みましたが、異国の地で電話対応してもらえるのはありがたいと、重ねて保険に入ることになりました。
 受付には従業員が一人しかおらず、長蛇の列ができていました。手続後、鍵をわたされ、自分でニッサン車をさがし、初めてのニッサン車のシフトレバーに苦戦しながら勝手に出発することとなりました。

(3) ガソリンスタンド
 まずは、ガソリンをいれなくてはと、ガソリンスタンド(セルフ)をみつけて入ったものの、フューエルドア(給油口の扉)をあけるスイッチがどうしてもみつかりません。ワイワイ、オタオタしていたところ、隣で給油していた女性がドアを手でポンと叩いてあけてくれました。手動だったんですね…。また、給油機にクレジットカードを読み込ませるような場所はなく、とりあえず給油した後、恐る恐る併設の売店に入っていくと、あっさり、支払いを済ませることができました。

(4) 運転
 左ハンドルだと、ハンドルについているウインカーとワイパーの位置が右ハンドルと逆になりますが、若い頃実家のドイツ車(右ハンドルなのに、ウインカーとワイパーが逆についている)に乗っていた時期があったので、頭の中のどこかにスイッチがあるらしく、これに困ることはありませんでした。
 基本的にまっすぐ走っていれば危険なことはないので、ナビ通りに曲がれなくても、あわてない!と心に言い聞かせて運転していました。
 とはいえ、まず困ったのが、ついつい、車線の右寄りを走ってしまうこと。街中を走っていて交差点で停止したときに、一度、後続車から注意を受けました。
 また、やはり、右折、左折が危ないです。曲がったあとどちらの車線に入るというとこまではイメージトレーニングをしておきましたが、侵入する際の左右の確認の癖などがどうしても直らず、ヒヤリとした場面が何度かありました。ラウンドアバウトについては、iPhoneのナビが何番目をでてくださいと教えてくれるので、それほど困りませんでした。
 あとは、フリーウエイ(とよんでいいのか…幹線道路です。)。何回か、片側一車線、中央分離帯なしの幹線道路を、何百キロも移動したのですが、基本的に、みなさん100キロ以上で走っています。こちらも流れに乗って走りますが、追い越されることがあります。追い越されるとき、対向車線の対向車が結構近づいてきているタイミングでやられると、巻き込み事故に遭うのではないかと、肝を冷やします。対向車線で対向車が追い越しているときも、結構、こちらが近づいいっている中で追い越しされることがあり、これまた、思わずハンドルを路肩方向にきって、心臓の縮みあがる思いをすることがありました。

(5)駐車場
駐車場のあるホテルを選びました。

(6)レンタカーを返す
 約束の午後7時前にレンタカーを返しにいくと、レンタカー会社の事務所には誰もいませんでした。思わず、契約書を確認しましたが、やはり、午後7時と記載されています。レンタカー会社に電話してみると、事務所のポストに鍵をいれておいてくれ、傷などがみつかったら後日連絡する等といわれました。仕方なく、レンタカーの四方八方をスマホで写真をとり、鍵をポストにいれて、ウーバーでタクシーをよび引き上げました。話はそれますが、ウーバーって、本当に便利です。

(6)帰国後スピード違反の連絡
 帰国後、レンタカー会社が、警察からスピード違反があったとの連絡がきたとメールで知らせてきました。これに関し、レンタカー会社は、administration fee (72,60 EUR)をクレジットカードから引き落とさせてもらうとした上で、「We note that the administration fee is not a compensation for a fine imposed by a public authority. The customer is obliged to pay the penalty for the traffic violation」と書き添えられていました。
さあ大変!
 レンタカー会社にどうやって払ったらいいかと念のため問い合わせましたが「We always provide police (or other authorities) with clients information, so they should contact you about traffic violation」とのつれない返事。
 添付されていたラトビアの州警察から行政犯罪事件の決定書をみると(ラトビア語なので、翻訳をかけました)、罰金に関する決定が発効してから1ヶ月以内に支払わないと罰金に関する決定はAAL269条にしたがい執行のために宣誓執行吏に引き渡されるなどと書いてあります。あわてて罰金を支払うよう指示のあった口座に国際送金の手続きをとりました(ゆうちょダイレクトを利用することにし、その用意に少し手間取りました)。
 郵便局の窓口で、予期せぬ手数料がどこかでひかれる可能性があるといわれたので、指示された罰金額よりも少し多めに振り込み、決定書に記載があった州警察交通安全管理室のメールアドレスに、決定書を添付の上(添付がみられないと困るので、メール自体にも文面をコピペしておきました)、標題には事件番号をいれ、「罰金を支払うため送金したが、どこかで手数料を控除されることも勘案し少し多めに送金しました。着金にはまだ少々時間がかかるかもしれませんが、ご確認ください。何か問題があったら連絡をください。」という内容のメール(英文)をおくったところ、案に相違して、「罰金はすでに支払われています。」との連絡がすぐに来ました。驚いて「罰金がすでに支払われているということなら、国際送金を取り消してもいでしょうか」とたずねると、これまたすぐに返信がきて「重ねて支払った場合、送金は取り消すべきでしょう」。
 そこで、あわてて国際送金の取消手続きをとって、再び、「国際送金は取り消しましたが、もし、送金取消の同意が必要な場合は、同意をお願いします。」と送ったところ、「Of course. If it fails, you can write a submission with a request to return the overpaid amount」という返事までいただきました。
 レンタカー会社の対応がそれなりのものだったで、まさか、警察がこんなに親切な対応をしてくれるとは思わず、本当に感激しました。国際送金は無事に取り消すことができましたが、先に、警察に問い合わせてみるべきだったと反省しています。
 どうして、レンタカー会社からあのようなメールがきたのかわかりませんが、罰金を払ったのはおそらくレンタカー会社だと考えざるを得ませんので、だとするとadministration feeはこれにあてるためのものだった(もしくは、引き落としはこれに罰金をプラスした額になるのかも…)と考えるのが素直で、ということは、メールを送ってきたレンタカー会社の事務員さんはそのような事情を知らずに働いているのかな…と現状では思っています。

(7) レンタカー旅行については上記の通り多少のトラブルがありましたが、バルト三国は、いずれも古い町並みがよく残っており、とてもよい旅行となりました。特に、ヴィルニスでは、ヴィルニス大学の学生さんに街を案内してもらう機会に恵まれたので、格別に良い印象が残っています。
 ただ、NATO軍のヘリコプターが軍事演習をしていたり、ウクライナの旗が随所にみられたり、バルト三国をとりまく厳し国際情勢にも思いを馳せざるを得ませんでした。
 なお、バルト三国へは、ヘルシンキ経由で訪れたのですが、ヘルシンキでは、約40年ぶりに、以前実家でホストファミリーとしてお迎えした当時の学生さんに再会することができ、ヘルシンキを案内していただいた上、ご自宅でもおもてなしいただきました。お互い学生だったときからたくさんの時間、そして、日芬の間の距離をこえて、とても楽しい時間を過ごすことができたことを、不思議に思いつつも、大変、感激しました。このような素晴らしい再会が、今回の旅の何よりのイベントとなりました。

フリーウエイ(幹線道路。助手席で撮影。)
タリンが近づくにつれ、霧がひどくなりました。
 

リトアニア、カウナスにある旧日本領事館。
募金してきました。
まるでドラクエの城とよばれる?
トラカイ城
ラドビア、リガにある
ネコの家
エストニア、タリンの
中世から残る旧市街城壁