2019年12月25日水曜日

年の瀬に


1. 今年も残すところあと6日ですね。
 今年もいろいろありました。 

2. 前回のブログで触れた論文が、「税法学」582号に載りました。
 「租税訴訟における規範的要件の要件事実 -法人税法
1321項の不当性要件を中心に-」というタイトルです。
 一生懸命、取り組みましたが、脱稿後、しばらくたって読み返すと、がっかり…汗。
 大学院で、修士論文を指導する際にいっていることですが…。自分の研究分野の論文を沢山読むと、頭の中で回路ができるのか、つながっているようにみえてしまう、でも、はじめて読む人にはつながってみえないことがあるから、言葉を足しなさいと…。
 今回は、字数制限が厳しいこともあり、削っているうちに、余計に麻痺していったのかなあ…。
 明らかに言い訳ですね(苦笑)。
 反省しきりです。

3. 「税法学」以降も、2つの執筆がありました。
 1つは、「自由と正義」(2月号?3月号)の「任官の窓」に、民事調停官として考えたことがのるみたいです。
 もう1つは、今年の春から畑違いの分野に取り組んでいたもので、来年2月に自費出版の運びとなりました。また、ご報告いたします。
 以前、このブログで報告したとおり、今年の9月に出版された日弁連知的財産センター弁護士知財ネット監修「農林水産関係知財の法律相談Ⅰ」では、Q6Q50を担当しました。今年は、執筆が多かったなという印象です。

4. 本業では、今年のお正月明けに任意後見契約を締結していた方が亡くなってみつかったことや、孤独死された方の相続財産管理人をしたことで、独居について、色々と考えさせられました。

5. 今年は、執筆関連以外の読書はあまりできませんでしたが、つい最近読んだ「十二国記」の新刊「白銀の墟 玄の月」は、楽しかったです(以下、ネタバレ注意)。
 正直、昔、新潮の夏の100冊に入っていた「魔性の子」には、ひきました…。
 今回も、最後の方、よもや…と心配しましたが、よかったです…。
 読んでいて、昔、シスターにしつこく質問したことを思い出しました(クリスチャンではないのですが、在学していたミッションスクールで、シスターと聖書を読むサークルをつくっていました)。なぜ、イエズス様は、ユダが裏切るとわかっていていかせたのだろうか。正しい道に導いてあげればよかったのに…。イエズス様がそのままいかせたことにより、最期の審判で、ユダは、地獄に落ちてしまうのでは…と私は思ったのでした。すると、シスターは、「神様は、人間に自由意志をお与えになったのです。」とこたえてくださいました。
 話はとびますが、十二国記ででてくる天と人(ときに仙、王)の関係は、私には、上記のシスターの答えを私なりに解釈したものに、少し、つながるようにもみえます(くどいですが、私にとって…)。

6. 時には、打ちひしがれることもありますが、来年も、自分に出来ることを、ひとつひとつ積み重ねていきたいと思う年の瀬です。

 


今年のツリー。
オーナメントは4パターンあり
あんなにツリー好きだったのに(笑)
十数年つかっていたツリーを昨年廃棄処分にしたところ
今年、再購入するか随分悩みました。
歳かなあ…汗
 

2019年9月29日日曜日

ラグビー&要件事実論


1. ワールドカップラグビーの対アイルランド戦での日本の勝利には、歓喜してしまいました。
 次戦は、豊田スタジアムでサモア戦ですね。残念ながら、チケットをとれなかったので、自宅で応援します!

 
豊田スタジアムで行われた
ウエールズ対ジョージア戦です。

2. ところで、この夏は、「税法学」に寄稿するため、要件事実等を“しこたま”お勉強しました。要件事実論は、奥が深くて、どこまで理解できているのか不安でなりません。
 しかも、要件事実論は、究極的には民事裁判において判決を書くためのスキルですから、「現実の裁判では、司法研修所で教えたとおりになんかやってないよ~」といわれてしまえば、それまで?と思うと、虚脱感が忍び寄ってきます。司法研修所で教えていたからには、要件事実論(というかいわゆる”白表紙”)は、てっきり、法曹の共通言語であると思っていたのに、そうでもなかったようです。特に、規範的要件の主要事実説&抗弁説は、ベテラン裁判官からは異論があるのでしょうか。(ハマキョウレックス判決が)「規範的要件の評価根拠事実(及び評価障害事実)の『立証責任』を各当事者が負うと明言してしまったのですから、ベテラン裁判官は頭を抱えざるを得ませんでした。」「司法研修所の見解であるため、それを表向き否定することはできないが、しかし、それをそのまま判決に使わないということは、まさに、口頭で伝承するしかない共通の『暗黙知』でした」(岡口基一『裁判官は劣化しているのか』137138頁)なんていわれると、それはないよなあ…と思ってしまいます。
 近年、先輩や同期から、司法研修所では、要件事実論をちゃんと教えているのか?という疑問の投げかけを耳にします。実は、司法制度改革により、要件事実論は、司法研修所ではなく、ロースクールで教えているようです。でも、今回、規範的要件について、期が若くはない同業者にたずねても、「司法研修所でそんなこと習ったっけ?」との回答が返ってくることもありました。もしかして、期には関係ないのかな…?。私より何期か上の司法試験合格者の頃は、両訴の受験ではなく、民事訴訟法より刑事訴訟法の方が若くして合格できると人気であったときいています。もっとも、二回試験に合格しているから、単に、忘れているだけだと思いますが…。裁判官については、よくわかりませんが、結局、司法研修所だけでなく、岡口裁判官のいうように、民事部での飲みニケ-ションなど、先輩裁判官からの指導も大きかったのでしょうか。
 民訴改正と新様式判決書の影響は、より大きいように思います。「新様式判決書では、在来様式判決書と違って、請求原因及び抗弁等の事実摘示を記載することにより順次判断していくわけではないので、過誤を招く恐れが多く、注意を要する」(原田和徳「要件事実の機能-裁判官の視点から」『民事要件事実講座199頁)との指摘があります。新様式では、裁判官がきちんと要件事実を把握していなくても判決を書けるともいわれています。
 このように、実務では、要件事実論の危機が叫ばれているのに、租税訴訟では、要件事実論に対する関心が強まっているように感じるのは気のせいでしょうか。
 元々、司法研修所で教えていたせいか、要件事実論について“得体の知れないもの”と漠然と否定的なイメージを持たれる方もおられるようです。
 古い話になりますが、私が、法学部に入学した頃、購入した「新版現代法学入門」(加藤一郎・伊藤正巳編有斐閣双書)には、「裁判官は、まず、事件の具体的事実関係の中からそれに即した具体的に妥当な結論を見出そうと努め、つぎにそこから得られた結論を、法規からの理由づけによって正当化しようとする。その場合に、法規は決して文字そのままの固定的なものではなく、裁判官は、結論の理由づけに適合するように、解釈によって法規を操作していく。…しかし、それを判決文にあらわすときには、あたかも法規から、自動的ないしは必然的にその結論が導き出されたかのように、三段論法的な構成で叙述がなされるのがふつうである。」と書いてありました。実務につくと、裁判官ではないので想像を含みますが、なるほどなるほどと思ってしまうところがあります。伊藤滋夫教授も、「事件の筋にあった結論」とか「すわりの良い結論」があるとおっしゃっておられます。しかも、租税訴訟をみていると、「すわりの良い結論」を優先した結果、法理論や法解釈の限界をこえているのでは?と思うことがあります。
 伊藤滋夫教授は、要件事実の考え方の特徴(①要件を分析的に検討して厳密に考える、②各要件の内容をなす事実を具体的に考える、③各要件を原則・例外の形として考え、どの原則とどの例外がどのような意味で対応しているかを具体的に考える)は、実体法の解釈理論に寄与すると指摘しています。こういう基本的な態度って、やっぱり大切だよなあ…と思う今日この頃…。
 なお、「税法学」への寄稿については、世にでましたら、また、このブログでご報告します。
 

2019年9月10日火曜日

「農林水産関係知財の法律相談」


久しぶりの更新ですが、本の宣伝です。
日弁連知的財産センター弁護士知財ネット監修「農林水産関係知財の法律相談Ⅰ」及び「同Ⅱ」(青林書院・2019年)という本が、914日に発行されます。
http://www.seirin.co.jp/book/01771.html

私は、弁護士知財ネットの農水法務支援チームに所属している関係で、その「Ⅰ」の中の
Q6  世界農業遺産
Q50 混同惹起行為(1号)・著名表示冒用行為(2号)
の執筆を担当しています。

農林水産業は国民生活の基盤となる大切な産業であり、日本の国家戦略として、その知財保護は急務です。
2
分冊にわたる農水知財の決定版とも思える本書に関与できてよかったです。
機会があれば、お手にとってみていただけると嬉しいです。

2019年6月23日日曜日

植樹祭、日本税法学会


1. 6月初旬、第70回全国植樹祭が愛知県で開催されましたが、縁あって参加し、植樹してまいりました。
 5月に即位された天皇皇后両陛下の初めての地方公務ということで、テレビの報道等でご覧になった方が多いと思います。
 前回、愛知で開催されたのは、約40年前といいますから、次回があっても、私は、絶対に、参加できないでしょう。でも、私が植樹した苗が立派に育ってくれるとしたら、とても嬉しい気がします。
 樹や森を育てるというのは、誠に気の長い話で、おじいさんが植えた苗木を孫が伐採するという世界です。
 日本の国土の約7割は、森林。先進国で、有数の森林率だと聞きます。
 ちなみに、愛知県の森林率は、平成29年度で、42.2%(植樹祭で配布された「あいちの森林・林業」による。)。その多くは、戦後に木材用として植えられた人工林だといいます(同「あいち木づかいBook」)。
 人が育てる森林では、枝打ち、間伐など、人の手を入れ続ける必要があります。また、適切なタイミングで、成長した木を伐採し、その後、苗木を植えてあげる必要もあります。
 愛知県の人工林は、植えてから51~60年たった森林の割合がもっとも高く、さらに46年以上の割合は81%と全国平均52%を大きく上回っているそうです(同)。
 私が若い頃は、丸太の伐採は環境破壊だというイメージがあったように思いますが、国産の木を適切に利用することは、日本の森を守る上で、非常に大切なことです。
 愛知県では、愛知県材を活用した技術や木製品などの開発が進められており、愛知県内で産出された木材であること、あるいは、それを加工した製品であることを「あいち認証材製品」として「愛知県産材認証機構」により認証する制度もあるようです。
http://www.aichi-wood.com/index.html

 植樹祭への参加は、そのようなことを改めて考えるよい機会でした。

 
一瞬の出来事で、うまく撮れませんでした(汗)
 
うまく育ってくれたら嬉しいです。


2. 68日・9日は、明治学院大学で開催された日本税法学会の大会に参加しました。
 昨年は、残念ながら参加できませんでしたが、アカデミズムが漂う空間に身を置くのは、実務家としては、貴重な機会です。
 ところで、開催会場となった明治学院は、私が通った高校のご近所です。偶々、昨日、「ブラタモリ」でも白金をやっていて、昔の日々が、少し、懐かしく思い出されました。
 私は渋谷からバスを利用して通っており、よく、遅刻しそうになって、バス停から、急な坂道(校門をくぐってからも坂道が続く。)をダッシュしました。そのせいか、一番思い出すのは、校門(有名な正門ではありません。)を入ってからの坂道。結構、心臓破りで、大雪が降ったときには、のぼれなくなくなり、脇の小さな階段にロープがたらされたほど…。中等科では、お聖堂のときをのぞき第一体育館で整列でしたが、高等科では、「ピロッティ」とよばれるところで出欠をとっており、ぎりぎりセーフで列に飛び込んだこともしばしばあった記憶です。その急坂の脇には、「ドウダンツツジ」が植えられていて、春になって開花すると、とてもツツジにはみえないけど、かわいいなあ、なんて思っていました。
 それから、中等科の校舎には、ジュビリーパーラーとよばれる部屋がありました。丁度、卓球台が一台置けて、球技大会で、「ジュビリーパーラーに集合」と校内放送が流れたりするのです。めちゃくちゃ楽しそうな名前だなと思いつつ、勿論、お菓子などだしてくださるところではなく、なぜ…?とずっと疑問に思っていました。今、ネットでちょこっと調べて、やっぱり、聖書関連なのかなと思っています。

 卒業から30年以上たち、懐かしさが自然とこみ上げてくるとは…。私も齢を重ねたのだなぁと、しみじみしてしまいます。
   
 

    明治学院の素敵な記念館と礼拝堂。

2019年4月30日火曜日

平成と令和


1.いよいよ、平成は、今日で終わりです。
ここのところ、ブログ更新をさぼってしまいました。
なんとか、1カ月に1度は…とおもって続けてきましたが、こういうのって、私の場合、一度サボると、もう、どんどん、億劫になってしまいます。
折角、5年ほど続けてきたので、令和になっても、細々ながらも、続けられたらなと思っています。

2.テレビなどでは、平和を振り返る番組が目白押しですね。
昭和生まれ昭和育ちの私にとっては、二度目の改元。
平成元年には、既に社会人になっていましたから、私は、どう考えても、“昭和人”です。
令和生まれが増えてくると、令和人にとっての昭和人は、昭和人にとっての明治人みたいな感じになるのでしょうか…。
昭和の終わりから平成にかけて、一番、生活に変化を与えたのは、情報機器ですかね。私は、社会人になってから、PC98シリーズを使い始めました。上司はまだまだ手書きでしたが、やはり手書きのものを会議資料などには使えませんから、あっという間に、ブラインドタッチになりました。当初は、5インチのフロッピーディスクが記録媒体の頃。ソフトは、Lotus 1-2-3を多用していました。その後、国際部門に移ると、Macがあり、表計算ソフトはExcel。こちらも、当初は、骨が折れました。あと、ワーブロは富士ゼロックスのJ-star。これが使い勝手よくて、基本的に、頭でイメージした作図はその通りにできるので、その後、WORDをつかうようになっても、J-starが恋しい時間は長かったです。
そして、なんといっても、携帯電話。平成8年初めに契約したと思います。確か、パソコン通信も同じ頃。
平成15年に弁護士に登録した頃には、電子メールがビジネスに必須になっていました。

3.令和は、どんな時代になるのでしょうか。
平和で、文化豊かなよい時代となりますように。

2019年1月3日木曜日

猪子石の神明社


1. 今年の干支は、亥。
 ということで、亥に因んで、猪子石の神明社にお参りにいってきました。
 ところで、昔から疑問に思っていたのは、猪突猛進といわれるくらいの猪が、どうして、例のレースで神様に到着するのが最後になってしまったのかということ。牛と鼠の話は有名ですが、猪はゴールを通り過ぎてしまい戻ったからだなんて話もあるようで…。ただ、十二支の起源は古く、動物が割り当てられたのは、後になってから…「亥」には、「とざす」という意味があるそうです。


2. 猪子石(「いのこいし」地元では「いのこし」とも…)の神明社は、承和14847)に創建され、江戸初期に水汲坂(現在の香坂。「猪子石神社」があるところ?)から現在地(名鉄引山バスターミナルの近く)へ遷座されたという古い神社です。 神明社ということで天照大御神をご祭神とし、また、「亥の子」(猪の子)信仰に因んだ五穀豊穣・子孫繁栄や境内の末社である龍耳社に因んで耳の神様として信仰されています。「亥の子」信仰とは、神明社の案内によれば、日本の民俗信仰に見える田の神とのこと。イノシシが一度に十二匹の子どもを産むとされるところから、多産の神として信仰されるようになり、後に、農業と結びついて豊穣の神とされるようになったそうです。
 また、神明社の西にある「猪子石神社」には、猪に似ている石、「牡石」が(この牡石は「触ると祟る」といわれているそうです!)、神明社の西南にある「大石神社」には、やはり猪に似ている「牝石」が、それぞれ、祀られています。土着の信仰としては、これらの方が古かったのかもしれませんね。
 無料で公開されている神明社資料館には郷土文化財「おまんと(馬の塔・御馬塔)」の馬標(ダシ)などが展示されていました。「おまんと」というのは初めて聞きましたが、古く室町末期に始まり、以後、尾張から西三河でおこなわれきた風習だそうで、馬の頭や背に標具を立て、首や胴体を豪華な馬具で飾り、村旗などが2列縦隊で行進し、所々で火縄銃を発砲し、神社に参詣し、棒の手を奉納する祭礼です。なんとも勇壮な感じですが、戦国時代の農民の戦技が神事と結びついて発達したのではないかといいます。神明社で行われたのは、平成3年が最後だそうです。



猪の子神明社
 
おまんと

 

猪子石神明社の御朱印


2019年1月1日火曜日

謹賀新年

本年もよろしくお願いいたします。

 
お正月のお軸