2018年8月31日金曜日

夏の終わりに


1.  今日で8月も終わり。まだまだ暑い日が続きそうですが、夏が過ぎゆくのは、それはそれで淋しい気がします。
 私は、日が短くなってくる秋が少し苦手です。これは、恐らく、(旧)司法試験受験時代が関係しているのかなと思っています。
 私は、弁護士になるための(旧)司法試験を5回受験しています。つまり、4回失敗しています。そのうち、3回は、論文試験で不合格となりました。この論文試験の発表が秋だったのです。
 いわゆる(旧)司法試験(二次試験)には、択一、論文、口述の3つがありました。口述試験まで行くと、失敗しても、翌年、口述試験から受験できますが、論文試験で失敗すると、翌年、択一試験という私の苦手なマークシートの試験からはじめなければなりません。秋に論文試験失敗の結果を受け、翌年も、司法試験の受験を続けるのか決断するのは、つらいことでした。論文試験に落ちると成績がでるのですが、2回目、3回目は、「
A」での不合格。あともう少しなのはわかるのですが、はっきりいって、4年も、5年も、勉強していると、法律を「研究」しているのとは違って、同じことの繰り返しになってきます。もしかしたら、この先何年やっても、私は、頭一つ抜けることはないのかもしれません。そもそも、司法試験の勉強をはじめたのは、学部卒業後、8年間勤務した銀行を退職し、地縁のない名古屋に居を移したからです。つまり、弁護士を志した時点で、既に、三十路を迎えていました。比較的遅い年齢での挑戦と、重なる失敗に、周囲の目は厳しくなるばかり…。何よりも情けないのは、諦めるという決断がなかなかできない自分でした。司法試験の合格率は、当時、合格人数を増やしている最中であっても、約2~3%だったと思います。難しい試験ですから、司法試験の受験を始める前は、「むかなかったらすぐにやめよう。」と思っていました。でも、はじめてみると、なかなかやめられない。「何がいけなかったんだろう。」と自問すると、「司法試験をはじめたのがいけなかった。」などと、今更どうしようもないことを考え、涙がにじむばかり…。秋になり、日が短くなってくると、進むも、引くも、うまく決断できない、情けない気持ちを、今でも、思い出します。

2. 今年の夏は、旅行にいけませんでしたが、2回、帰省しました。

(1) 先週末は、租税訴訟学会の平成30年度研修・研究大会(2日間)に参加するため、帰省しました。
同大会の発表は、どれも、大変興味深く、大層刺激を受けました。
佐藤信行先生の「電子取引と仮想通貨」は、特に、ブロックチェーンの説明がよかったです。愛知県弁護士会の情報法関連チームに入っていて、Fintechの講演を聴きに行ったことはありますが、佐藤先生は今までになく文系にもわかりやすく説明してくださり、仮想通貨の法規制のあり方を考えるのに役立つと思いました。
藤曲武美先生の「通則法改正後の税務調査の実態・問題点及び和解について」も興味深かったです。通則法改正後、審理が厳しくなり、税務調査に時間がかかるようになったため、税務調査の件数が減っているとのこと。藤曲先生は、税務調査は交渉の場であるのに、調査担当の裁量が狭くなり、融通がききにくくなっていることを問題視されておられましたが、これは、やはり、税理士さんならではの観点なのだろうか…と思いました。
阿部泰隆先生の「租税事件と適正手続保障」は、なかなか痛快で、示唆に富んでいました。
山本洋一郎先生の「宮崎シーガイア事件等勝訴事例紹介」は、これまで誌面で拝読していた事件について、第一審係属後に減額更正により落ちた論点があることや、残った論点に関する裁判官の求釈明など、事件の経過を直にうかがえてよかったです。
「勝訴事例の紹介」では、特に、関税法事件は今までなじみの薄かった輸入豚肉に関する関税についての問題点を聞けて面白かったです。

(2) もう一回は、弁護士知財ネットのジャパンコンテンツ調査研究チームで、新作歌舞伎「NARUTO」を観劇した機会に、帰省しました。
すごい舞台でした!!!
観劇後の懇親会には、出演者もかけつけてくださり、ジャパンコンテンツを堪能しました。